【交通トレンド分析158】石垣島、レンタカーに加えてタクシーも不足 鳥海高太朗


 7月上旬に石垣島を訪れた。既に報道されている沖縄本島同様にレンタカーが不足している状況が続いていたが、実際に訪れてそれ以上に驚いたのが、夜を中心にタクシーが不足していたことである。

 コロナ前は、石垣島にはタクシーがあふれ、いつでも乗りたい時に乗ることができた。さらに迎車料金も不要であることから、必要な時にお店で呼んでもらえばすぐに到着した。しかし、現在は夜の時間帯を中心にタクシーを捕まえるのが難しいケースが増加している。これは石垣島の中心であるフェリーターミナルがある美崎町だけではない。石垣空港でも夜遅くに飛行機で到着した際にタクシーに乗車できず、到着までに時間を要するケースもあり、タクシー確保の争奪もあったそうだ。

 石垣島のタクシー事情に詳しい人に現地で話を聞くことができたが、コロナ禍で高齢者を中心に100人近いタクシードライバーが辞めたことが大きいとのことだ。もともと、石垣島でタクシーを利用していると高齢者の運転手が多かったのは私自身も感じていたが、まさかコロナ禍でこれほどタクシーが減ってしまうことは私自身も想定できなかった。

 レンタカーが足りない中で、タクシーも時間帯によって不足することがあるので、繁忙期に石垣島へ向かう際には注意が必要だ。確実に確保したい場合には事前に予約することを強くおすすめすると地元の人は話す。それでも、石垣島はタクシーの台数は一定数あるので、待てば何とかタクシーを確保できる状況ではあるが、それ以上に大変なのが八重山諸島の離島内での移動だ。

 実は私自身、7月に石垣島から与那国島へ日帰りで遊びに行くことを計画し、複数のレンタカー会社に電話をしてみたが全て満車だった。数時間で巡ろうと思っていたので、レンタカーが無理であれば貸し切りのタクシーを確保してみようと試みたが、タクシーも既に予約できなかった。島内を循環するバスでの移動も考えたが本数が少ないことから難しく、結果的に与那国島への日帰り旅は断念することになった。

 路線バスや宿の送迎も含め、移動の交通機関が確保できないと、せっかく出かけようと思っても断念せざるを得ないことが出てくるのだ。コロナ禍を通じて改めて2次交通の大切さを実感することになった。そういった意味でも観光業に対して国からの支援が少なかった影響が出ている。

 観光業復活のために、国からの支援は今からでもいいので2次交通の不足を解消する支援を行ってほしい。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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