【交通トレンド分析17】海外空港でも進む日本人の出入国自動化ゲート 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 海外旅行や海外出張においてストレスがたまることの一つが現地に到着した時の入国審査。国、空港によっては長い行列で1時間以上並ぶことも珍しくない。だが国によっては自動化ゲートの導入によって短縮されるケースも出ている。その代表例がイギリスだ。

 日本からの玄関口となるロンドン・ヒースロー空港では従来、1時間以上並ぶことは日常茶飯事だった。しかしながら今年5月20日から日本、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、シンガポール、韓国のパスポートを保有する18歳以上を対象に(12~17歳は大人と同伴の場合は対象となる)、入国時における自動化ゲートの利用が開始された。

 8月上旬に筆者はベルギーのブリュッセルからエジンバラ空港に到着した際に初めて自動化ゲートを利用したが、パスポートリーダーでパスポートを読み取ったのち、顔写真の撮影だけで入国審査が終了し、前の扉が開いた。数十秒で入国審査が終了し、あっという間に空港を後にすることができた。知人の情報によるとヒースロー空港でも同様にスピーディーに入国審査を通過できるようになったとのことでイギリス入国が楽になった。まさにストレスフリーの入国審査だ。

 香港や台湾などでは年間に一定回数入国している日本人に対して自動化ゲート利用の申請をすることで利用できるケースもあるが(香港ではマイレージの上級会員は入国回数に関わらず登録可能)、日本のパスポートであれば誰でも利用できるケースは非常に珍しい。ただ香港では入国時は登録がないと自動化ゲートが使えないが、出国時においては誰でも自動化ゲートの利用が可能となり、出国に要する時間は短縮された。

 アメリカでも「KIOSK」と呼ばれるセルフサービスによる入国審査が導入されているが、質問項目や写真撮影、指紋認証などを済ませたのち、最終的には入国審査官の審査を受けることになる。

 日本国内においては、羽田空港や成田空港をはじめとした主要空港に「顔認証ゲート」の導入が進み、日本人の出入国は原則「顔認証ゲート」の利用となっている。そして訪日外国人が増えているなか、今年7月24日からは訪日外国人のうち「短期滞在」の資格で入国した場合に限り、出国時においては「顔認証ゲート」の利用が可能となった。これは入国審査官の訪日外国人の入国審査におけるブース増や審査の厳格さを維持するために対象者を増やしたとのことで、世界的にも自動化ゲートが増えることでストレスフリーな旅行ができる国が増えそうだ。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒