本格的な冬のシーズンに入った道東。鉄道ファンに人気なのが1月から3月にかけての3カ月間のみ運行される「SL冬の湿原号」だ。釧路駅から標茶駅までの間を約1時間半で走る冬のSLである。
今年は1月21日から運行が開始され週末を中心に設定され、早速私も1月22日にプライベートで乗車してきた。この区間のSLに乗るのは初めてであるが、乗車前の釧路駅から非常に盛り上がっていた。一番先頭にSLがけん引する形でその後ろに5両編成の車両があり、全部で240席の座席が設定されており、乗車券の1290円に座席指定券の1680円を購入で乗車することが可能だ。
釧路駅を午前11時05分に出発する30分前に釧路駅のホームにSLが入線。白煙と黒煙を上げて入ってきたが、多くの鉄道ファンがホームにカメラを持って集まっていたほか、非常に印象的だったのは外国人観光客の姿が多く見られたことである。そして外国人観光客の多くは日本国内のJR全線が乗り放題となる外国人専用の「ジャパンレールパス」を持っており、ネックストラップに乗車券を入れている人の姿が目立った。
今回私は5号車の「たんちょうカー」に乗車した。釧路湿原の川側になる左側の席はカウンター席となっており大きな窓から正面に景色を見ることができるようになっているほか、右側の席はボックス席となって4人が座れるようになっているのだが高床化したことによって、ボックス席からも景色が一望できるように工夫されていた。さらに3号車と4号車はストーブカーとなっており、だるまストーブでは車内販売で買ったスルメなどを焼くことも可能になっていた。
発車直後に列ができたのが、2号車のカフェカーであり、ここでは地元のクラフトビールやサイダー、またSLをイメージしたオリジナルブレンドコーヒーなどの飲み物のほか、ビーフジャーキーやチーズ、スルメなども販売されていた。私はSLプリンとコーヒーを購入したが、SLの煙を黒ゴマでアレンジしたSLプリンがとてもおいしく、SLでの時間は景色とスイーツで大満足な時間となった。途中でキタキツネやたんちょうなども見ることができ、釧路湿原の景色も素晴らしかったが、沿線上にはSLを写真に収めるために多くの鉄道ファンが集まり、さらに地元の方も手を振ってくれるなど1時間半の乗車時間はあっという間に過ぎ、終着駅の標茶駅に到過した。
標茶駅でも地元の方が多く集まるなどアットホームな雰囲気で、まさにSLを中心とした地方創生であった。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)