【交通トレンド分析186】羽田空港国際線、保安検査場混雑がより顕著に 鳥海高太朗


 国際線の保安検査場混雑がさらにすごい状況になっている。私は3月18日(土)の夜21時過ぎに22時50分発のANAロサンゼルス行きを利用するために羽田空港第3ターミナルに到着した。チェックインカウンターは混雑なくスムーズに終えることができたが、中央の保安検査場の行列が一番端の「N」カウンターまで伸び、さらに折り返ししていた。日中は二つの保安検査場入り口があるが、夜の時間帯は一つのみになっており、その一つも乗務員用を除くと6レーンほどの運用となっていた。国際線の各便が復便しているなか、復便に対応できない状況になっている。

 私も最後尾に並び始めた瞬間に日本を訪れて自国へ戻る外国人観光客からは「クレイジー」という声が多く聞こえたが、私自身も羽田空港第3ターミナルでは見たことのない行列だった。結果的に保安検査場通過に55分を要した。もう少しで1時間というところだ。空いていれば5分もかからないのだが、ここは大きなタイムロスになった。

 私はマイレージの上級会員でラウンジを利用することが可能ということで、深夜便の機内に乗り込む前に食事を済ませておく計画をしていた。保安検査場、そして出国審査を終えた時点で飛行機が出発する40分前だったが、幸いにも飛行機の出発が15分遅れるというアナウンスによって、ラウンジ滞在時間25分が確保され、何とか食事ができたが想定外だった。

 私はそれでもチェックインが混んでいなかったのが救いだったが、海外系航空会社のチェックインカウンターには搭乗手続きにも長い行列ができており、チェックインにも1時間近く要しているケースもあり、保安検査場混雑も含めると2時間以上を要することもあるのだ。現在の羽田空港では少なくても2時間半前には空港に到着しておく必要があるだろう。

 この問題は出張で頻繁に飛行機を利用するビジネスパーソンにも大きな影響が出ている。海外を飛び回る出張者の多くはマイレージの上級会員で、コロナ前までは上級会員専用保安検査場が使えた(航空会社によってはファーストクラス利用者なども)。しかし現在は優先レーンが運用停止で唯一、JAN便では顔認証制度「Face Express」を使う場合に限って専用レーンが使えるが利用者は限られる。

 海外からのビジネスパーソンも含めて長い行列が今後も続くことになれば、日本に行きたくなくなってしまう懸念もあり、人手不足において政府も検討に入ったが、抜本的な対策に早急に取り組む時期に来ているだろう。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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