福岡では新しい地下鉄が開業した。3月27日に福岡市地下鉄七隈線の天神南駅―博多駅までの約1.4キロが延伸開業し、博多駅―橋本駅までの区間に拡大し、博多駅には空港線と七隈線の二つの地下鉄が乗り入れるようになった。今回の開業はわずか1.4キロの区間が延伸しただけであるが、福岡を観光で訪れる人におけるメリットは大きい。
まずは博多駅の次の駅となる櫛田神社前駅にはキャナルシティ博多の目の前に駅ができることで、これまではバスかタクシーが中心だった交通アクセスに新たな選択肢ができることになった。そして、天神南駅、渡辺通駅の近くにはホテルも多く、私も宿泊する機会があるが、これまでは博多駅から不便でバスを乗りこなす必要があったが、博多駅まで地下鉄1本で行けるようになったことで、これまで以上に使いやすくなった。
今回、私は食事をするために福岡空港駅から薬院駅まで移動する必要があり、空港線に乗って福岡空港駅から博多駅まで移動し、ホーム最前方の連絡通路で少し距離はあるが、動く歩道を使ってスムーズな乗り換えが可能となっている。段差はなく移動できることから、大きなスーツケースやキャリーバッグがあっても乗り換えの不便さはなく、天神南駅や渡辺通駅の近くのホテルを予約しても、博多駅での乗り換えは必要となるが、開通前に比べると抜群にアクセスは向上し、福岡市内に宿泊する際のホテル選びにもメリットがありそうだ。
そして、実際に乗車して利便性を感じたのが博多駅から7分の乗車時間で行ける薬院駅である。西鉄大牟田線の全列車が停車する駅で、太宰府天満宮や久留米、大牟田方面へ向かう際に便利であり、私も実際に薬院駅で七隈線から西鉄大牟田線の改札口まで移動してみたが、改札口近くまで直通で結ぶエレベーターを利用することで、スムーズな乗り換えが可能になっている。天神駅で空港線の地下鉄に乗り換えるよりは便利だ。
そして観光客が訪れる機会は少ないが、おいしいお店が多いといわれているのが博多駅から7駅の六本松駅。博多駅から直結になったことで気軽に訪れやすくなった。これまで以上に観光客が増えることになる注目スポットである。
日本人観光客ももちろん、海外からのインバウンドにおいても地下鉄があることで動きやすくなる。バスは複雑で乗りこなすのは大変だが、地下鉄なら動きやすく、観光においても間違いなくプラスになり、七隈線の観光客利用が増えることになりそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)