【交通トレンド分析193】新幹線「こだま」自由席を上手に活用 鳥海高太朗


 ゴールデンウイーク(GW)期間中は新幹線や飛行機では多くの人で混雑し、GWの利用実績の発表を見てもコロナ前とほぼ変わらない水準まで回復をしているなか、私もテレビなどでGWの穴場的な話題を紹介することが多かったなかで、今回、移動手段として何度か紹介したのが東海道新幹線「こだま」の自由席であった。

 東海道新幹線には「のぞみ」「ひかり」「こだま」が走っているが、東京―新大阪間においては全列車が16両編成になっており、総座席数も「N700」「N700S」に関係なく同じ座席数になっている。ただ自由席の車両数は列車種別によって異なり、「のぞみ」では1~3号車の3両、「ひかり」は1~5号車の5両が自由席になっているのに対し、「こだま」は繁忙期以外では通常は10両が自由席となっており(1~6号車、13~16号車)、指定席は3両、グリーン車が3両となっている。今回のGWのような繁忙期になると指定席が5両になることから自由席は8両に減ってしまうが、それでも「こだま」の自由席が満席で座れないケースはまれであり、かなりの確率で座れる。

 気になる本数は、東京―名古屋間は1時間あたり原則2本、名古屋―新大阪間は1時間あたり原則1本となっている。所要時間は「のぞみ」や「ひかり」に比べると乗車時間は長く、東京―名古屋間で2時間50分程度、東京―新大阪間で4時間4分程度となっている。早朝、深夜を除いて、多くの停車駅で後続の「のぞみ」「ひかり」の通過待ちがあるが、駅弁やお酒、おつまみを買って車内でゆっくり過ごす「こだま」ファンも多い。

 「こだま」といえばロングセラーとなっている指定席・グリーン車を割安で利用できる「ぷらっとこだま」(JR東海ツアーズなどで販売されている)というイメージを持っている人も多く、お得度的には高い。実際に「こだま」の車内を見ると、間違いなく自由席よりも指定席の方が混んでいる。

 ただ「こだま」の自由席は運賃的には「のぞみ」「ひかり」と同じ料金で、価格的なメリットはない。だが空いている自由席で移動できる機会が多く、さらに今回のGW期間中、そして今後のお盆期間などにおいても座れる可能性が高い。

 「こだま」を上手に乗りこなすことで旅の幅が広がることになりそうだ。大都市間の移動だけでなく、普段訪れる機会の少ない「こだま」停車駅周辺で旅をするのも楽しいだろう。東海道新幹線を利用する旅行で活用してみてはいかがだろうか。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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