【交通トレンド分析195】海外渡航が一気に楽に 鳥海高太朗


 4月29日に日本の水際対策が緩和され、それまで海外から日本に帰国する際には新型コロナウイルスのワクチン接種3回以上の接種証明書もしくは2回以下の接種の場合には帰国便出発72時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書が不要となり、日本に帰国する際に必要な新型コロナウイルス関連の書類は一切なくなった。私も5月21日から23日までの3日間で台湾の台北への取材があり、23日に帰国したが、これまではホームページ上の「Visit Japan Web」で証明書をアップロードしなければならないなど、帰国前の手間があったが、今回帰国するにあたり、完全にコロナ前同様の状況に戻った。

 あえてオンラインで登録するか迷ったのが、入国審査後に預けた手荷物をターンテーブルから受け取った後の税関検査で必要な「携帯品・別送品申告書」。コロナ禍の間に税関検査の方式が二つになり、一つは従来のように機内で配られる縦長の携帯品・別送品申告書に手書きをして税関職員に手渡しして検査を受ける方法、そして二つ目は「Visit Japan Web」を使い、電子版の携帯品・別送品申告書に入力し、荷物のターンテーブル周辺にある電子申告端末で、パスポートと税関申告のQRコードをスキャンし、顔写真を撮影し、電子申告した内容に間違いがないかを確認して登録を済ませることで、電子申告ゲートへ向かい、歩きながら顔写真の認証(本人確認)が行われ、ゲート通過ができるようになっている。混雑の状況にもよるが、私の肌感覚としては、従来の手渡し方式の方が早い場合と電子申告ゲートの方が早い場合の両方がある。

 4月29日以降は税関の電子申告以外ではVisit Japan Webを使うことがなくなったが、コロナ禍でVisit Japan Webやその導入前に使われていた「My SOS」はインターネットやスマートフォンを使いこなせる人にとってはハードルが高くなかったが、私の周りでもシニアを中心に日常からスマートフォンも電話やLINE、メールなど最小限しか活用していない人にとってのハードルは大きく、特にパスポートやワクチン接種証明書の画像データのアップロードなどは非常に難しく、登録に難航する人が続出した。

 このような状況もあったが、4月29日から帰国前の手続きが不要になり、本格的に日本からのアウトバウンドも復活へ向けて動きだしそうだ。ただ円安、物価高、燃油サーチャージの高い水準が続いていることで、まずはコロナ前の半分のアウトバウンドを当面は目指すことになりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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