【交通トレンド分析219】紅葉の京都、鉄道利用優先で混雑回避 鳥海高太朗


 今年の秋の紅葉シーズンは、全国各地の紅葉スポットに多くの人が集まっている。特に2019年以来、4年ぶりに外国人観光客の姿が目立つようになった。

 その中でも紅葉目当てに圧倒的な集客力を誇っているのが京都である。コロナ禍においては一時的に「オーバーツーリズム」は解消されていたが、今年10月の訪日外国人観光客数が初めてコロナ前の19年を上回る数字となった。インバウンドも完全復活であり、円安がインバウンドを後押ししており、北米を中心に日本での滞在日数が長い外国人が増えている。私も外国人にヒアリング調査を行ったが、欧米からのインバウンドでは、そのほとんどが京都を訪れると話していた。東海道新幹線には外国人観光客の利用者が増えていることを日増しに実感する。

 そのような状況の中で、京都で紅葉スポットを巡る際に一番問題となっているのが、バスの大混雑。特に京都駅から清水寺へ結ぶ主要路線は週末においては30分近い待ち時間になることもある。

 私も11月22日(木)に京都を訪れた際にバスを利用したが、どのバスに乗っても混雑しているほか、バスによっては外国人観光客が大きなスーツケースを車内に持ち込んでいるケースも見られ、バスを日常で利用している地域住民にとっても大きな問題になっていることは言うまでもない。また道路の渋滞も激しく、想定よりもはるかに時間がかかってしまうケースが続出している。

 ただ最近、京都を上手に巡る方法として、できる限り電車を活用することで快適な移動ができているケースもある。例えば嵐山の渡月橋へ向かう場合、京都駅からJR山陰本線で嵯峨嵐山駅を使う方法、また伏見稲荷大社へ向かうのであればJR奈良線で稲荷駅まで移動することで混雑を回避できる。所要時間的には短時間での移動が可能であるが、JR山陰本線・奈良線共に時間帯によっては日中でも通勤ラッシュ並みの混雑になっている様子を私自身も実際に見ている。今後、増発や車両を長くするなどの対策を講じることになるが、それでもバス移動よりは便利である。

 そしてもっと活用してほしいと京都市が呼びかけているのが地下鉄利用である。特に南北の移動は地下鉄烏丸線を利用し、横移動だけバスを使うという方法である。人気の清水寺も京都駅から1駅だけ乗って五条駅でバスに乗り換えるだけでも時間短縮になる。

 鉄道とバスの組み合わせルートも京都駅などで掲示されている。鉄道とバスの両方を上手に活用するのが今の京都を巡るには不可欠である。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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