【交通トレンド分析225】羽田空港の離着陸能力が約半分に 鳥海高太朗


 1月2日に発生したJALと海上保安庁の衝突事故。ここでは事故の詳細は触れないが、発生した18時前から羽田空港を発着する便に大きな影響が出た。羽田空港には4本の滑走路があるが、事故直後は4本の全ての滑走路が閉鎖され、事故直後から国内線については羽田空港発着の全ての便が欠航となり、既に羽田空港へ向けて飛行中だった便は、成田空港、中部空港、伊丹空港、関西空港などにダイバートしたが、スカイマークについては茨城空港にもダイバートするなど、年末年始のUターンラッシュに入っていたこともあり、大きな影響が出た。

 また国際線についても出発を全便見合わせており、私も事故から2時間後の20時くらいに羽田空港へ向かい、三つの全てのターミナルの状況を取材したが、国際線が出発する第3ターミナルおよび第2ターミナルの国際線チェックインカウンター前には多くの人が集まっていた。母国へ帰国する外国人観光客を中心にチェックインカウンター周辺で多くの人が運航再開を待っていた。

 その後、21時半からC滑走路以外の3本の滑走路の運用が再開するというアナウンスが流れ、再開便からチェックイン手続きが再開され、大幅遅延になった便も多かったが、国内線に比べると欠航便の数は少なかった。

 さらに大変だったのは、事故翌日からだった。事故翌日3日から7日までの5日間は、滑走路が1本使えないことで離陸や着陸の長い順番待ちとなり、3日、4日の両日は特に夕方以降は多くの便で3~6時間の遅れが発生。5時間以上の遅延で出発する予定が、出発準備が間に合わずに、延長していた地方空港の運用時間をさらに過ぎてしまって欠航になった便もあった。

 特に事故があったC滑走路は南風の運用時には離陸、着陸の両方を使うなど、混雑時は2分に1回のペースで離着陸があり、実際はC滑走路が1本使えないだけで、羽田空港全体の滑走路の処理能力は半分程度に落ちてしまう。特に全国各地から羽田空港へ向かう国内線のほとんどの便では、管制塔からの指示で離陸時間を指定され、指定された離陸時間まで離陸ができず、長い時間機内で待機する便も多かった。

 結論から言えば、滑走路が1本使えないことで、キャパオーバーの状況になった。5日以降は早い段階で多くの便を欠航させ、一部は成田発着の臨時便も設定されるなど、大幅遅延の便が減ったが、滑走路が使えない際には計画的な減便をすぐにすることが今回の教訓になっただろう。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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