【交通トレンド分析234】ANAの国内線フラッグシップ機デビュー 鳥海高太朗


 ANAは3月27日より国内線幹線路線を中心に飛ぶ、新しいフラッグシップ機となるボーイング787―10型機を就航した。国際線では787―10型機を2019年4月より3機投入していたが、今回新たに国内線に2機導入し、将来的には11機まで増やす。現在の国内線のフラッグシップ機はボーイング777―300型機や777―200型機であるが、今後は段階的にボーイング787―10型機にしていく方針だ。

 787―10型機は、既にANAが国内線、国際線共に導入しているボーイング787―8型機(335席仕様)や787―9型機(375席、395席仕様)と比べても全長が長く(同10型機は全長68.3メートル※8型機は56.7メートル、9型機は62.8メートル)、429席仕様(プレミアムクラス28席、普通席401席)となり、777―300型機の514席には及ばないが、777―200型機の405席(一部392席)よりも多くの乗客が一度に移動できる。ボーイング777型機に比べて約25%の燃費改善が見込まれる省燃費、低騒音の機材とのことだ。

 全席にパーソナルモニターが搭載されており、「プレミアムクラス」では国内線最大の15.6インチ、普通席でも13.3インチ(一部の最前列は10.1インチ)の大きさで、ビデオプログラムや映画などを楽しめる。既にANAでは一部の国内線機材で同じパーソナルモニターを搭載しているが、非常に画面が明るく、ビデオプログラムや映画を思う存分楽しめるのが特徴となっている。

 またシート電源やUSB電源などもあるので機内での充電にも事欠かない。普通席のシートはトヨタ紡織製のシートになっており、座り心地がよいシートで国内線でもフライト時間が長い時などに違いを体感することができるだろう。

 国内線のフラッグシップ機といえば、JALは19年にエアバスA350―900型機を羽田―新千歳、福岡、那覇などの国内線幹線路線を中心に投入。369席仕様と391席仕様の2タイプがあるが、JALでは「ファーストクラス」「クラスJ」「普通席」の3クラスになっていることでANAの787―10型機よりも座席数は少し少ないが、機体の大きさとしては大きく変わらない。

 両社ともにボーイング777型機からの置き換えであり、両社ともに環境に配慮した機体を投入することとなり、数年後には幹線路線のメインはANAがボーイング787―10型機、JALはエアバスA350―900型機になりそうだ。JALも全席にパーソナルモニターが付いており、幹線路線の快適度はこれまで以上に上がるだろう。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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