【交通トレンド分析249】東京―成田の格安バスが1500円に値上げ 鳥海高太朗


 成田空港に国内線のLCC(格安航空会社)が誕生したのが2012年。ジェットスター・ジャパン、旧エアアジア・ジャパン(初代)が相次いで就航したタイミングで格安バスの運行が開始された。以前は二つのバスの種類があり、京成バスが中心であった「東京シャトル」とビィー・トランセグループとJRバス関東の2社で運行していた「THEアクセス成田」という二つのブランドで運行されていたが、今は共同運行の形で「エアポートバス東京・成田」という形となり、コロナ前は一部事前予約が可能な便もあったが、現在は全て先着順となっている。

 インバウンド(訪日外国人観光客)の増加もあり、最近では東京駅八重洲南口のバス乗り場には常に長い列ができており、1本目のバスに乗車できないことも多く、ほとんどのバスが満席近い乗車率となっている。私の肌感覚ではあるが、日本人よりも外国人の利用者の方が多くなっている。

 運行開始以降、片道千円の期間が長く、一時期は事前予約であれば最安900円で乗れたこともあったが(キャンペーン価格での最安は800円)、21年3月から千円↓1300円に値上げされ、今年8月1日からは1500円に値上げされることが発表された。

 現状、片道1300円で乗れる「エアポートバス東京・成田」など格安バスをLCB(低価格高速バス)という言葉も使われているが、国内線LCCが就航する際に航空券が安いのに、成田空港までの移動コストが高いという状況のなかで、格安バスの運行が始まり、千円バスと呼ばれた時代もあり、国内線LCCの浸透に大きな役目を果たしたことは間違いない。

 JR東日本の快速列車で東京駅から片道1340円、京成本線の特急料金不要の特急利用で片道1060円であるが、「エアポートバス東京・成田」はダイレクトに東京駅と成田空港を結ぶ利便性があり、所要時間的にも特急券不要の列車に比べると短く、東京駅の乗り場も東京駅八重洲南口前で、改札口からも雨にも濡れず、段差もなく、1分あれば乗り場に行ける点も大きい。私も先日東京駅発で久しぶりに利用したが、全席自由席の先着順(成田空港発は時間指定の乗車券の購入が必要)で積み残しがあっても、10~20分間隔で利用できることで(日中は1時間あたり5~6本)、少し待てば確実に乗れるのは楽だった。

 今後、1500円に値上げされた場合に、外国人観光客への影響はほとんどないだろうが、日本人においてはJRの快速列車や特急券不要の京成特急やアクセス特急に一定数流れる可能性もあるかもしれない。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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