【交通トレンド分析257】北陸新幹線敦賀延伸半年、福井の新幹線効果は継続中 鳥海高太朗


 今年3月16日に北陸新幹線の金沢―敦賀間が開業し、9月16日で開業半年を迎えた。私自身も新幹線延伸前の昨年末から福井で取材を続けているが、新幹線開業効果は大きく、観光・ビジネスの両面でプラスになっている。

 私は福井放送での年末の特番、新幹線開業当日の特番に出演し、さらにキー局のテレビのロケでも2回ほど訪れるなど、この1年だけでも6回近く訪れている。直近でも8月に福井での全国知事会での講演、9月前半には福井放送の新幹線開業半年特番にお声がけいただくなど、福井には定期的に訪れている。

 JR西日本が発表したお盆期間中(8月9~18日)の北陸新幹線の利用者は、最も利用者が多い上越妙高―糸魚川間で昨年よりも26%多い39万7千人が利用した。この数字は15年の北陸新幹線の長野―金沢間が開業した年を超え、過去最高の数字となった。

 下りのピーク日となった8月10日は1日あたり4万7千人が利用したほか、金沢―福井間の利用者も昨年の特急「サンダーバード」と「しらさぎ」を合わせたものを比べて36%増の29万1千人が利用するなど、福井県を訪れる観光客が大きく増えた。開業半年を迎えたが順調に利用者を伸ばしている。

 9月2週目の平日に福井を訪れた際、平日にも関わらず、停車駅の少ない「かがやき」は混雑しており、特に帰りの福井駅16時22分発「かがやき」に乗車したが、指定席は満席で、グリーン車に若干空席がある程度であった。週末は観光客が中心であるが、平日は観光客+ビジネス客の両方の姿が見られる。

 唯一の不満は、平日は日中時間帯において速達タイプの「かがやき」の運転がなく、停車駅の多い「はくたか」のみとなる。平日は上り・下り共に昼間の約6時間近く「かがやき」がなく(週末は臨時列車あり)、不便だという声が利用者から聞かれる。2時間に1本くらい「かがやき」があるともっと便利だろう。

 観光面では、福井県立恐竜博物館が一番人気で、事前予約制のチケットを入手する必要があるが(予約枠が空いていれば当日でも入れる)、夏休みや週末を中心に予約枠が一杯で、当日思い立って行こうと思っても入館できないことも。まさに新幹線効果である。それ以外にも永平寺、東尋坊、芦原温泉などの人気スポットを訪れる観光客も多い。

 ただ、福井県の主要観光スポットは福井駅から離れており、2次交通をもっと充実させてほしいという声がある。今後の課題はあるが、少なくともこの半年間の新幹線効果は大きいことを実感した。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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