【交通トレンド分析259】国際線の機内Wi-Fi、無料化の動き 鳥海高太朗


 飛行機の機内でインターネットに接続することができる機内Wi―Fiは、国内線ではANAやJALグループ便において無料で接続できるサービスは完全に定着している一方、国際線では有料での利用が一般的であった。JALが設立した国際線中長距離LCCである「ZIPAIR」では北米路線を含めて全席で無料でのインターネット接続サービスを利用できるのも珍しいケースだった。だが最近では海外のフルサービスキャリアが国際線でも無料でのネット接続に踏み切る航空会社が増えている。

 シンガポール航空では、ファーストクラス・ビジネスクラスは無料で、エコノミークラスでも同社のマイレージ会員でチェックイン前に予約の記録にマイレージ番号を登録することで無料での利用が可能だ。エミレーツ航空もマイレージ会員や利用するクラスに応じて無料での接続(一部はテキストメッセージのみ無料の場合もある)が可能。

 日本のフルサービスキャリアについては、ANAでは今年8月20日からファーストクラスに加えてビジネスクラスでも無料で利用できるようになった。今後、24年度中にプレミアムエコノミーとエコノミークラス利用者についてはテキストメッセージのみ無料で利用できるようになる見込みとなっている。

 こうした中、JALは10月1日から国際線でファーストクラスとビジネスクラスはフライト中無料、プレミアムエコノミーとエコノミークラスでも接続から1時間に限って無料で利用できるサービスを開始した。これはかなり画期的であり、エコノミークラスでも1時間無料になることで、この1時間を上手に活用する人が増えるだろう。

 現在のプランでは3時間プランで14・40ドル(JALカード会員は12・95ドル)、フライトプラン(フライト中無制限で使える)は18・80ドル(JALカード会員は16・80ドル)で、ネット接続をちゅうちょする人も多いが、1時間だけ無料で使えることで、集中してラインなどでのメッセージのやり取りやSNSのチェックや更新、ホームページ閲覧などをする人が増えそうだ。さらに既にJAL国内線では無料でネット接続できるが、今まで接続ができなかった動画視聴が可能となった(国内線のみ)。

 無料で利用できるコンテンツの充実は機内での満足度を高めることになる。将来的にはハワイアン航空などが導入しているイーロン・マスク氏のStarlink社が手掛ける衛星での高速ネット接続サービス「Starlink(スターリンク)」導入の航空会社が増えそうで、さらなる進化が期待できそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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