【交通トレンド分析261】ZIPAIR、来年3月に成田―ヒューストン線開設 鳥海高太朗


 JALグループの国際線中長距離LCCのZIPAIRは、成田―ヒューストン線を来年3月4日に開設することを発表した。成田発、ヒューストン発ともに火・木・土・日曜の週4往復の運航となり、機材はボーイング787―8型機となる。

 現在ZIPAIRは、全便が成田空港発着でソウル、バンコク、シンガポール、マニラ、ホノルル、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンノゼ、バンクーバーに就航しており、来年3月のヒューストン線の就航で10路線目となる。今回私はヒューストン線の就航発表の記者発表会に出席したが、特に北米線が好調であるという数字が同社の西田真吾社長から示された。

 既に北米(ハワイを除く)は4路線が就航しているが、その中でも今年就航したばかりの成田―バンクーバー線は夏の搭乗率は95%を記録したとのことだ。また成田―ロサンゼルス線についても90%を超える搭乗率になっている。ロサンゼルス線については、大谷翔平選手の観戦目的で利用する人も多く、成田空港のチェックインカウンターでもグッズを持ったファンの姿が多くみられたとのことだ。

 ZIPAIRは、コロナ禍の20年に初就航し、北米線では21年12月に成田―ロサンゼルス線を就航したが、既に多くのリピーターを確保している。その中でもリピーターに人気があるのが完全フルフラットになる「ZIP Full―Flat」である。わずか18席の設定となっており、普通席よりも圧倒的に早く満席になっている。西田社長によると、北米線の「ZIP Full―Flat」は出発2週間前には全席満席になっているとのことだ。最近では片道20万円台前半が相場であるが、フルサービスキャリアよりも圧倒的に安い。機内サービスは普通席と同じだが、シートだけフルフラットになればいいという利用者を中心に人気がある。増席の要望も多く、今後検討していきたいとのことだった。

 成田―ヒューストン線の片道運賃は「ZIP Full―Flat Value」が18万8500円から、普通席利用の「Standard Value」が5万5250円から、6歳以下向けの「U6 Standard Value」は1万5千円の定額となっている。ダイナミックプライスで需要と供給のバランスで運賃が上下するが、フルサービスキャリアに比べると割安であり、今回のヒューストン線の就航により、ヒューストンでアメリカ国内線に乗り換えてアメリカ東海岸、中部などへの利便性が高まることになる。

 ZIPAIRは片道でも購入できる点も魅力であり、留学や海外での長期滞在時(ビザ保有で復路の航空券がなくても入国できる場合)には便利で、利用者の約半分は片道利用とのことだ。来年3月の就航が今から楽しみである。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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