【交通トレンド分析264】青春18きっぷ、近冬から大規模改定で利用者激減の懸念 鳥海高太朗


 10月後半、JR各社から驚くべき発表があった。長年多くの人に愛用されていた春休み・夏休み・冬休みの年3回販売されていた日本全国のJR全線の普通列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」の利用ルールが大きく変更されたのだ。

 これまでは5回分(1日分×5回)で設定されている利用期間内であれば、好きな日に利用できるほか、同一行動であれば複数人での利用も認められており、5人であれば1日で一気に使い切ることもできた。また2人利用で1泊2日の旅行で4回分を使い、最後に1回分を1人で設定期間内に使うという利用も多く見られた。中には1人で5回分を使う人もいたのだ。

 何よりも1日乗り放題で5回分で1万2050円、1回あたり2410円で利用できるということで人気があった。よく言われるのが、「青春18きっぷ」に年齢制限があるのでは? という声だが、年齢制限はなく誰でも利用可能となっている。

 しかし、今回の改定ではルールが大きく変わり、複数人での利用はできなくなり、さらに連続した日程での利用に限定されてしまった。新ルールでは2種類が設定され、3日間用と5日間用の二つから選べるようになった。3日間用は1万円、5日間用は1万2050円となる。3日間用だと1日あたり3333円、5日間用は1日あたり2410円となる。

 今年の冬については、12月10日~1月10日となる。飛び飛びで使えるのが魅力だった部分もあるほか、新たに設定された3日間用が割高に感じる。以前に比べて割安感がなくなり、使いにくくなったが、今回ネット上の声の中では、連続利用がネックになりそうだ。設定期間内で数回に分けて利用したい人が使えなくなってしまうのが残念だ。

 そして今回は以前は複数人が1冊の「青春18きっぷ」を利用できたことから、自動改札機が使えなかったが、今年の冬以降は1人利用になることから自動改札機の利用が可能となる。個人的には連続での利用ということであれば2日利用5千円くらいで設定してくれると使い勝手が良さそうであるが、最低でも3日用で1万円となると利用する人が減ってしまう懸念がある。

 普通列車と快速列車しか原則利用できないが、首都圏では東海道、高崎、宇都宮、総武快速、横須賀、常磐各線などの普通列車グリーン車、近畿圏では新快速の「Aシート」などは追加料金で利用でき、青春18きっぷと併用する人も多い。今年の冬からの新ルールで青春18きっぷの購入者にどのくらい変化があるのか注目していきたい。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)


※観光経済新聞11月18日号掲載コラム

 
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