【交通トレンド分析265】成田・羽田で海外出発前・帰国後すぐに行きたくなる牛丼店 鳥海高太朗


 私は仕事柄、飛行機を利用することが多いが、その中で羽田、成田両空港で重宝しているのが「吉野家」や「松屋」などの牛丼屋。短時間で食べられるメリットはもちろんであるが、値段も安く、最近ではメニューも多種類で、朝であれば朝食メニューもあるなど、どの時間に訪れても温かい食事を堪能でき、個人的には究極の和食だと思っている。

 今回、この話題にしたのは2023年2月に成田空港第3ターミナルに開業した「松屋」に、第3ターミナルから出発する際に直近2回連続で訪れたからだ。

 8月に利用した際は朝の早い時間で第3ターミナルから出発するスプリング・ジャパンで新千歳空港へ向かう際だったが、目玉焼きとソーセージ、牛小鉢、ご飯、みそ汁という個人的に好きな「松屋」の朝食メニューを注文したが、普通に550円で食べることができ、費用対効果も抜群である。牛丼も並で520円となっている。何よりも温かい食事ができるのがうれしいところだ。

 11月中旬に同じく成田空港の第3ターミナルからジェットスター航空でオーストラリアのブリスベンへ夜便で飛んだ。この日は昼食を食べる時間がなくて、仕事を終えて成田空港へ向かったが、今度は海外へ出かける前に牛丼が無性に食べたくなり、再び「松屋」に入って牛丼を食べてから出国審査場へ向かった。海外出発前の日本食の食べ納めとして個人的には最高である。

 成田空港では第2ターミナル2階に「吉野家」が入っているが、こちらは第2ターミナルから出国する際だけでなく、帰国後、駐車場へ向かう際に横を通ることもあり、そのまま吸い込まれてしまうこともある。

 牛丼については個人的にエピソードがあるが、00年にスコットランドへ半年間の海外留学(大学4年生)をしていた際、帰国して真っ先に食べたいものが吉野家の牛丼だったということを今でも鮮明に覚えている。当時のサッカーの日本代表選手がヨーロッパに挑戦した際、一時帰国時に食べたいものとして牛丼を挙げていたことも記憶しているが、これは値段ではなく、海外でお金を出しても食べられない味という認識だった。特に海外へ長期滞在した後は帰国したらすぐに足を運んでいたと思う。

 最近は長くても1週間程度なので、すぐに牛丼屋に直行ということはないが、昔と違って成田空港・羽田空港(三つのターミナル全てに吉野家がある)に牛丼店があるのはうれしい。最近ではインバウンド客の姿も多く見られるが、日本の牛丼をどう思うのかも一度聞いてみたいところだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)


(観光経済新聞11月25日号掲載コラム)

 
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