【交通トレンド分析268】ANA羽田―ミラノ線就航、有休2日間で現地3泊も可能 鳥海高太朗


 ANAから新しいヨーロッパ路線が誕生した。12月3日に羽田―ミラノ線を週3往復で就航した。この路線は当初2020年5月に就航予定であったが、新型コロナウイルスの影響により4年7カ月遅れての就航となった。

 今回、私は初便を現地で出迎えるべく、就航より少し早めに日本を出発して、ドイツのミュンヘン経由でイタリアに入った。

 ミラノ発羽田行きの初便出発前にミラノ・マルペンサ空港で行われたセレモニーで、ANAの井上慎一社長は次のようにあいさつした。

 「ミラノから東京への初の直行便就航は非常にエキサイトな瞬間で、ミラノは日本にとってビジネスとレジャーの両方で重要な目的地で、同時に日本はイタリア人にとって人気旅行先であって、現在、訪日旅行者数ではヨーロッパで4番目の規模になっている。新しい路線がイタリアと日本の関係をますます強くするものと確信している」

 羽田―ミラノ線は火曜・木曜・日曜発の午前1時5分発の深夜便となっている。深夜発になるのでチェックインは前夜になるが、羽田空港には前夜23時過ぎに到着しても十分に間に合うので、例えば木曜日の午前1時5分の便であれば、水曜日の仕事を終えて、いったん自宅に戻ってからでも十分に間に合う時間となっている。

 現地時間の朝8時30分にミラノ・マルペンサ空港に到着することから、そのままミラノでのランチが可能な時間帯となる。

 ミラノを中心にフィレンツェやベネチア、さらにはローマまで鉄道利用で足を伸ばすことも可能で、ミラノからの帰国便も火曜・木曜・日曜発で現地時間午前10時30分に出発して、翌日の朝7時30分に羽田空港に到着する。

 つまり、到着後はそのまま出勤することも可能な時間で、私自身もミラノから到着後にそのまま日本テレビの番組出演があったが、定刻に到着し、朝8時半には汐留の日本テレビに到着できた。

 日本を水曜日の深夜に出て、月曜の朝に帰国する現地3泊のイタリア旅行であれば、通常の週末でも有休2日間で行けるのだ。

 ANAのヨーロッパ線はロンドン、パリ、フランクフルト、ミュンヘン、ウィーン、ブリュッセルへの便を運航。ヨーロッパからのインバウンドを中心にビジネスクラス、エコノミークラスともに混雑しており、私が搭乗した往路の羽田―ミュンヘン線も完全に満席となっており、7~8割は外国人だった。

 今回のミラノ線就航によって提供座席数が増えることにより席が取りやすくなることが期待されている。イタリアへ直行で行けることになり、これから人気路線になりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)


(観光経済新聞2024年12月16日号掲載コラム)

 
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