【交通トレンド分析269】25年、国際線の拡充や万博開催などで訪日客のさらなる増加へ 鳥海高太朗


 2024年は最終的なインバウンド(訪日外国人観光客)の人数は出ていないが、3500~3600万人程度になりそうだ。そして25年は初めての4千万人超えを目指すことになりそうだが、大きな社会情勢の変化がなければ4千万人を超える可能性は十分に高いだろう。

 24年11月30日から、日本人が中国へ向かう場合のビザ免除を再開したことに伴い、日本政府も中国人の日本入国におけるビザ発給要件を緩和する方針で、従来通りに中国人が日本に入国する場合のビザは必要となるが、個人ビザの発給が増えることで25年は大きく増加することが想定されている。

 24年10月において、19年比で約8割までの回復と、他の国よりも鈍い状況であったが、ビザ緩和と両国間の関係を考えると19年と同等数、もしくはそれを超える可能性は十分にあるだろう。

 そして25年はいよいよ大阪で大阪・関西万博が開催される。

 4月13日~10月13日までの半年間開催されるが、どのくらいインバウンドにおける効果が出るのかは未知数であるが、関西空港では受け入れ態勢を整えるために、保安検査場やラウンジ、免税店などを万博開幕に合わせてリニューアル工事が展開されており、万博開幕までに多くの部分のリニューアルを終えることになる。

 22年10月に新国内線エリアをオープンし、23年12月に新国際線出国エリア(中央エリア)をオープンし、25年春には新国際線ラウンジの運用も開始する。

 また、海外の航空会社(特にアジア)を中心に関西空港への乗り入れが増えているほか、中東のエミレーツ航空では関西―ドバイ線に総2階建て飛行機のエアバスA380型機を投入するなど提供座席数を増やす方針だ。これにより、関西空港発着の国際線が増えることになる。

 関西3空港の一つである神戸空港も国際化へ向けて動き出しており、25年4月18日に第2ターミナルを開業する予定で国際チャーター便の運航が可能となり、既に大韓航空が神戸―ソウル線のチャーター便を運航することを発表している。30年をめどに国際定期便の運用を開始する計画となっている。

 また、25年は国際線新規就航路線が増えそうだが、ANAは24年12月の羽田―ミラノ線に続いて、25年1月31日に羽田―ストックホルム線、2月12日に羽田―イスタンブール線に就航する。

 ヨーロッパからのインバウンド増加に期待できる新就航となるが、現時点で発表されていない各航空会社の新規路線の発表も今後出てくるだろう。25年もインバウンド増加の継続は間違いないだろう。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)


(観光経済新聞2025年1月1日号掲載コラム)

 
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