【交通トレンド分析274】ストックホルム空港と中央駅を結ぶアーランダエクスプレス 鳥海高太朗


 1月31日(金)に、ANAは羽田から新路線としてスウェーデンのストックホルムへの直行便を週3往復で就航した。私も現地で取材をするべく、先乗りする形でストックホルムへ入ったが、私自身はストックホルムを訪れるのは25年ぶりということだったが、その当時からストックホルムのアーランダ空港とストックホルム中央駅を結ぶ高速列車「アーランダエクスプレス」というのがあった。今回も懐かしさも含めて乗ってみることにした。

 45キロ近い距離を180キロ近い速度で走り、わずか18分ほどで結ぶのだが、驚いたのは運賃である。25年前の2000年に乗車した時の運賃は覚えていないが、現在は片道340スウェーデンクローナで、1クローナが2月1日現在で約14円であり約4760円となっていた。往復割引でも640スウェーデンクローナ(約8960円)で、成田エクスプレスの東京―成田空港間の約79キロをグリーン車に乗ったとしても片道3840円となっており、それ以上の金額となっている。

 しかしながら、複数人で利用すると割引があり、1人だと片道340クローナであるが、2人以上は1人あたり120クローナ(約1680円)の追加で利用可能となるので、仮に4人で一緒に購入すれば700クローナ(約9800円)で1人あたり約2450円に下がるのだ。それ以外にも、65歳以上のシニアは210クローナ(約2940円)、18歳~25歳のユースは160クローナ(約2240円)、また子供は17歳までであれば26歳以上の大人が同行する場合は無料となっているなど、割引も充実している。つまり、私みたいに1人で移動する大人が一番高い運賃になるのだ。

 しかしながら、より割安で利用できるバスを利用すると45分近くかかるが、わずか18分でストックホルム中央駅に到着し、何よりもホームの先端にタクシー乗り場があることで、本当にスピーディーな移動が可能で、利便性は抜群であった。列車の本数も多く、10~15分に1本の運転本数で使いやすく、運賃が高いことは事実だが、空港アクセスとしての完成度としては高かった。

 市内中心部から50キロ前後離れている空港の場合、高速鉄道網が整備されていることのメリットは大きく、お金で時間を買うのか、時間をかけて安いバスで行くのか、複数の選択肢があることで、空港自体の価値を高めることになるのだ。今回、ANAが羽田からの直行便を就航したことでスウェーデンが便利になった。訪れる機会はなかなか限られる場所ではあるが、今年の注目旅行先でもあり、物価は高いが早いタイミングでもう一度訪れてみたいと思っている。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)


(2025年2月10日号掲載コラム)

 
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