
オーバーツーリズム問題が特に顕著であるのが京都で、特に京都市民も含めて問題視しているのが京都市バスの混雑であり、その中でも清水寺へ向かうバスは平日も含めて大混雑が続いている。京都市バスは対策として、土曜・日曜・祝日限定で清水寺や祇園、銀閣寺へ、停車するバス停を減らして直行する「観光特急バス」を2024年6月から運行を開始し、通常は230円で乗車できるが、このバスに限って1回500円の乗車料金となる。ただ、地下鉄・バス1日券(1100円)では追加料金なしで乗車可能となっている。
バスの車両自体は通常のバスと同じであるが、表示が「EX100」「EX101」となっているほか、「観光特急」と車両前面にステッカーが入っているので、目立つ存在となっている。
「EX100」は、京都駅から清水寺に近い「五条坂」、祇園・八坂神社に近い「祇園」、平安神宮に近い「岡崎公園 美術館・平安神宮前」、そして銀閣寺に近い「銀閣寺前」が終点となる。また「EX101」は京都駅から「五条坂」までのみの運行となっている。京都駅からは「EX100」朝9時台から12時台までの15分間隔で13時台~16時台までは30分間隔、「EX101」は朝9時台から12時台まで15分間隔となっている。清水寺がある「五条坂」までであれば、午前中は7~8分間隔で利用することができる。
私は2月23日の天皇誕生日の日曜日の午後に初めて乗車してきた。私も京都へ行くと清水寺方面へ行くことが多く、JR京都駅前のバス停から「EX100」に乗車して五条坂へ向かった。乗車10分前にバス停に行った際は、それほど行列はなかったが、バス入線直前の乗車数分前には列も長くなり、私は座れたが、立っている人も多く見られた。1回500円という割高な運賃設定にも関わらず、多くの人が利用しており(1日券で利用している人もいたが、その場で払っている人のほうが多かった)、あまり500円という金額を気にしない観光客も多い印象を受けた。
乗車して強く感じたことは、途中の停留所に止まらないことで、途中で大混雑することがないという点である。京都駅でドアが閉まれば、五条坂までは立席であっても、それ以上混み合うことがないのはありがたく、思っていた以上に快適であった。これなら500円の価値は十分にあると思う。一方で、500円払って立席になった場合には割高感を感じるかもしれない部分があったが、それでもメリットは大きく、週末だけでなく、平日も含めて運行をしても需要はあるだろう。今後の増便に期待したいところだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)
(観光経済新聞2025年3月3日号掲載コラム)