【交通トレンド分析279】東北新幹線の連結外れの影響、大宮駅始発で分離運行できないのか 鳥海高太朗


 3月6日(木)に、JR西日暮里駅近くで連結運転している「はやぶさ」「こまち」が走行中に連結部分が外れ、分離してしまうという車両トラブルが発生した。昨年に続いて2回目ということもあり、事故発生以降、当面の間「はやぶさ」「こまち」「やまびこ」「つばさ」の連結を行わず、連結運転していた「はやぶさ」「やまびこ」は単独運転となり、「こまち」の全列車と「つばさ」の単独運転する一部列車を除いて、「こまち」は東京―盛岡、「つばさ」は東京―山形を区間運休し、「こまち」は盛岡―秋田、「つばさ」は福島―新庄間のみの運転となった。

 私も事故翌日の3月7日(金)に仕事で宇都宮へ向かったが、往路で利用した朝7時の「なすの」は車両が変更となり、通常よりも短い7両編成(山形新幹線の車両を使用)となり、途中の大宮駅で多くの人が立席になっていた。そして、帰りは宇都宮駅11時過ぎの「やまびこ」を利用したが、いつもは「つばさ」が併結されているが、事故の影響で「やまびこ」のみの10両編成で通常よりも7両少ないことで自由席は混み合い、私自身も宇都宮から大宮までの約20分近く立席となった。指定席もほとんどの列車が満席で、自由席を利用するという選択肢しかなかった。

 私は短時間の利用だったので影響はなかったが、特に秋田新幹線「こまち」の指定席を持っていた人は、「はやぶさ」の指定席が確保できなければ、「やまびこ」自由席もしくは指定席、場合によっては「はやぶさ」を立ち席での利用、運が良ければ停車駅の少ない臨時の全車自由席「はやて」を利用するしか選択肢がなかった。早めに「こまち」や「つばさ」の指定席を取っていたのに、代替列車・指定席が用意されないという対応にSNS上でも疑問の声が上がっており、今回のように明らかに会社側の責任での運転見合わせという事態で振替ができない理由はシステムの問題が大きい。

 だが、過密ダイヤになっていて複数の新幹線が乗り入れている東京―大宮間を走行しない形で、大宮駅発着で「こまち」「つばさ」の単独運転はできるのではないかという声もある。「はやぶさ」「やまびこ」を先に出発させ、その2~3分後に「こまち」「つばさ」を出発させる方式で、若干ダイヤは乱れるが大宮発着であれば影響も最小限で済むだろう。大宮駅のホームは6線あり、真ん中のホームを活用すれば可能だろう。リスク管理の部分としても、影響が最小限の対応を事前にシミュレーションしてほしいと願う。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)


(観光経済新聞25年3月17日号掲載コラム)

 
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