現在、国内空港の中でホテルが直結されている空港としては、羽田空港、関西空港、中部国際空港、新千歳空港などがある。これらの空港にホテルが直結されていることの知名度は意外に高いが、実は大阪の伊丹空港にも空港直結のホテル「大阪空港ホテル」がある。ターミナルビル内の3階にホテルのフロントがあり、夜遅い便で到着した人、朝早い便で出発する人が利用者の中心となる。
筆者は仕事柄、伊丹空港で取材をする機会があり、いつもは空港周辺の東横インなどに宿泊するが、今回は深夜の取材だったこともあり、初めて大阪空港ホテルを選んだ。実際に使って感じたことは、一般的な空港直結ホテルはターミナルの一番端や別棟にあることがほとんどだが、大阪空港ホテルは中央部分にあり、到着ロビー、出発ロビーのどちらからもフロントから2、3分でアクセスできた。特に到着時においては、到着ロビーを出て早ければ10分以内にホテルの部屋に入れるくらい、移動距離は短かった。今回筆者は、セミダブル(15平方メートル)に宿泊したが、ベッドの寝心地は非常に良く、ぐっすり眠ることができた。朝もターミナル内の提携レストランで朝食が食べられる。
今回、印象的だったのがいったんホテルにチェックインして、深夜の空港取材を終えて午前2時半ごろにホテルに戻った際に、数人がチェックインしている光景が見られた。大阪市内中心部で飲んだ後にタクシーで移動してそのままチェックインし、ホテルで数時間過ごした後、朝の便の飛行機に乗るような雰囲気だった。朝一の羽田行きは朝7時に出発するが、6時過ぎまで眠って、ゆっくり準備をしても楽々間に合う。そういった意味でも、市内中心部から空港までの移動を前日にすることで十分な睡眠を確保できるという点でこのホテルを上手に活用するのもありだろう。
筆者も翌日は東京に戻るだけだったので、飛行機が出る40分前ぐらいにホテルをチェックアウトし、そのまま保安検査場に向かうことができたが、荷物を持つ時間が短いのがありがたかった。大阪出張時にいったん、ホテルに荷物を預けてから行動するのもありだと思った。
伊丹空港は国内線のみの発着ということもあり、利用者の多くは日本人だが、知名度がもっとあれば、羽田乗り継ぎで伊丹空港に到着する外国人利用ももっと増えるだろう。周辺のホテルに比べると少し料金は割高だが、筆者はホテルの予約サイトから1泊1万円で予約できたが、安いときは8千円とのことだ。滞在スタイルに応じて活用してみるのもいいだろう。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)