4月中旬以降、発熱している人の移動や飛行機利用の自粛を促すべく、国内線利用時にいくつかの空港でサーモグラフィーによる検温がスタートした。国際線利用時では、空港などで入国審査前の検疫ブースを通過する際にサーモグラフィーで体温を測定することは珍しくないが、新型コロナウイルスの感染防止対策として、私の記憶では今回初めて国内線でも一部空港で運用を開始した。
空港によって、出発時に行う場合と到着時に行う場合に分かれる。
出発時の保安検査場通過前に実施するのは羽田空港。現在、「コロナ疎開」という新たな言葉も生まれたが、首都圏から感染者の少ない地方に旅行や避難、首都圏在住の地方出身者の帰省、さらには仕事や家庭の都合などでどうしても飛行機で地方へ向かわなければならないケースもあるが、羽田空港を出発する前にサーモグラフィーで検温することで、37・5度以上の発熱が確認された場合には、国土交通省と厚生労働省が製作した「新型コロナウイルス感染症が心配なとき」というチラシが配布されることになる。
現状では、感染症が疑われる場合に限っては航空会社の運送約款に基づき、搭乗を拒否することも可能であるが、体温が高いというだけの場合は強制的に搭乗を拒否することはできない。そのため、発熱症状がある場合には、航空会社側は搭乗を自粛するように呼びかけるとのことだが、自主的に搭乗を控えることが求められるだろう。
出発時に実施するのは羽田空港のみとなっているが、北海道の新千歳空港、沖縄の那覇空港、石垣空港、宮古空港など、本州から利用者が多い空港では到着口にサーモグラフィーを設置し、発熱が確認された場合には現地での移動をしないように呼びかける。
実際に石垣島では、コロナウイルス感染者に対応する病床が3床しかなく、コロナウイルス感染者が首都圏などで増えているなかで、コロナ感染者が出てなく、海外旅行を諦めた旅行者や子供が一斉休校になったことにより家族旅行で訪れる人が続出したことで島民から危惧する声が出ていたなかで4月6日に石垣市長が来島を自粛するように強く呼びかけたが、4月13日に2名の感染が確認されてしまった。それも石垣島内で島民と接触した首都圏在住の感染者からの感染であり、移動を自粛していれば防げたことであった。
沖縄でも北海道も含めて地方都市においては、東京や大阪などからの来訪者が怖いという声が想像以上にあり、本当に不要不急の移動は控えるべきである。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)