【交通トレンド分析5】来年春は羽田空港からアメリカ便が大幅増に 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 来年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催される。五輪前の2020年春に都心上空の飛行が一部解禁されることに伴い、羽田空港の国際線発着枠が拡大する。増枠は全体で50枠(50往復分)となるが、今回の増枠では先行して50枠のうち24枠がアメリカ便に割り振られることが発表され、日米それぞれ12枠が配分される。日本よりも早く、アメリカ運輸省は各航空会社から出されていた申請に対し、5月16日にアメリカ航空会社の羽田発着枠の暫定配分を発表した。

 12枠の割り振りは、デルタ航空が5枠(シアトル、デトロイト、アトランタ、ポートランド、ホノルル)、ユナイテッド航空が4枠(ニューヨーク、シカゴ、ワシントン、ロサンゼルス)、アメリカン航空が2枠(ダラス、ロサンゼルス)、ハワイアン航空が1枠(ホノルル)となった。デルタ航空は合併前の旧ノースウエスト航空時代から日本発着の路線網も豊富であり、ユナイテッド航空も同様であったことから、日本での実績がある2社に多く配分された可能性が高い。加えて、デルタ航空は日本でのジョイントベンチャー(共同事業)のパートナー航空会社がなく、自社のみでネットワークを構築している点で5枠という最大配分数になった可能性が高い。今後、日本の航空会社に割り振られる12枠の配分も加えると、アメリカ便が合計24往復増え、現行の12往復と合わせて36往復体制となる。

 今回、認められた路線は全て成田から運航しており、成田からの路線移管という形で羽田に就航する路線も多くなるが、羽田に就航することで東京を訪れるビジネス客や観光客も利便性が増すが、それ以上に国内地方都市への乗り継ぎが便利になることから、地方におけるアメリカ人のインバウンド誘致が加速する可能性も十分に考えられる。アジア人に比べると滞在日数も長く、観光に費やす費用も多いことからアメリカ人のインバウンド誘致に力を入れる宿泊施設や観光施設、自治体も増えることだろう。

 日本人にとっての注目は羽田からのハワイ線がさらに増えることだ。現在、ANAがホノルルへ毎日1往復、ハワイアン航空がホノルルへ週11便、コナへ週3便を運航しているが、デルタ航空とハワイアン航空のホノルル便が1往復ずつ増えることで、羽田からのハワイ便全体で1日5往復体制となる。JALが今後ホノルルへ再就航するかどうかによってさらに便が増える可能性もある。羽田からのアメリカ便が盛り上がることだけは間違いなさそうだ。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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