【交通トレンド分析51】航空・JR株主優待券が有効期限延長 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 新型コロナウイルスによって、自由に移動ができない状況が続いている中、航空会社やJR各社が株主向けに発行している株主優待券の有効期限が延長された。ANA、JAL、スターフライヤー、ソラシドエア、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州では、5月31日に有効期限を迎える株主優待券について、有効期限を延長することをGW前に相次いで発表した。私も日頃から株主優待券を使う機会も多いが、ニューヨークの同時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災の際にもこのような延長の対応をしたことはなく、今回影響が出る期間が長期化していることで株主優待券の有効期限延長という過去にない特別対応になった。

 航空会社とJR各社で延長される期間は異なっており、航空会社の株主優待券は5月31日までの有効期限を11月30日までに延長するのに対し、JR各社の株主優待券については、1年間延長し来年の5月31日まで利用できるようになった。

 株主優待券は、有効期限までに利用しなければならず、5月末の有効期限であれば本来であれば6月1日以降は紙切れになってしまう。特に1枚で片道の普通運賃の約半額で利用できる航空会社の株主優待券は、昔は5月末までに株主優待割引航空券に交換すれば、交換後90日以内に利用すれば良かったので夏休み期間中の航空券を株主優待割引で5月後半に購入するということが可能だったが、例えばANAの株主優待券では2012年以降、有効期限までに搭乗をしなければならないルールに変更された。そのため、金券ショップやネットオークションで販売されている株主優待券の価格は、4月の春休みが終わると一気に下がる傾向となるが、4月に緊急事態宣言が発令されたことで5月末までの利用が難しいということで取引価額が暴落し、通常であればANAやJALの株主優待券は3千円から5千円程度の取引価格だったが、ゴールデンウイーク前に各社が有効期限の延長を発表する直前では千円台にまで下がった。有効期限の延長で2千円台後半から3千円台に上昇したが、これほど投げ売りされたのも初めてだった。

 同様に1枚で10%引になるJR東海の株主優待券も200~300円で取引されていた。

 まだまだ先が見えない状況にあるが、株主優待券の最大の魅力は、割引運賃にも関わらず予約の変更が可能な点だ。急に移動しなければならない時でも、株主優待券を持っていれば利用当日でも割安に購入できるのはありがたい。アフターコロナ直後は特に急に移動する機会も増えることから重宝しそうだ。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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