19日に県をまたいだ移動が解禁されたことで、国内旅行へ出かける人が急速に回復していることを解禁後の最初の週末に肌で感じた。私は19日の金曜日に羽田空港で取材をしていたが、搭乗ゲート前で取材をしたANAの那覇行きでは午前中で既に1便で300人を超える搭乗者になっていたほか、夕方便では満席便も見られるなど利用者が戻ってきた。
特に印象的だったのが、キャリーバッグを引っ張る子供連れのファミリー層が多かったことだ。緊急事態宣言解除後は週末でも子ども連れの姿が空港にはあまり見られず、出張者やどうしても移動をしなければならなかった人が中心だったが、この週末は今まで聞こえなかった子どもの声が空港の中でも聞こえるようになったのが印象的だった。
20日土曜日の朝、東京駅にも足を運んでみたが、新幹線の予約状況を見ると普通車指定席には空席があったが、グリーン車については一部列車で混雑している列車もあるなど新幹線も回復傾向が見られた。
19日以降、段階的に緩やかに旅行が回復すると思われていたが、既に最初の週末において出かける人が増えたのは朗報といってもいいだろう。
私自身も20日土曜日の午前中、実家がある千葉県の木更津方面へ向かっていたが、東京湾アクアラインは全線渋滞になっており、家族連れのマイカー利用者などが多く見られた。木更津金田にある三井アウトレットパーク木更津でも新型コロナウイルス発生前と変わらないくらい混雑していた。東京湾アクアライン以外でも、東名高速や中央道などでも朝から渋滞が見られるなど、首都圏と関東近郊へ自由に移動できるようになった効果が高速道路の混雑具合からも読み取れた。
ただ、マイカー利用者の多くは日帰りの傾向が強いことから、今後各自治体のキャンペーンや「Go Toキャンペーン」などを通じて、宿泊する形での近距離旅行が増えることで、より地域にお金が落ちるような流れになることを望みたい。
飛行機利用や新幹線利用者も増えているが、それ以上に自家用車やレンタカーなど車で行ける近距離エリアに出かける傾向が先に見られる。自家用車であればマスクを使う頻度も減るだけでなく、人との接触も少ない。
同時に今年の夏休みはまだ国内旅行も含めて旅行に出かけるのは時期尚早という声が聞かれるのも事実である。新型コロナウイルスと上手に付き合う新しいコロナ時代の旅行スタイルを模索する日々がしばらく続くことになる。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)