【交通トレンド分析63】羽田の駐車場から見る国内線利用者数 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 ANAホールディングス(以下ANA)とJALは、それぞれ2020年度第1四半期(4~6月)の決算を発表し、新型コロナウイルスによる影響でANAは1088億円の赤字、JALも937億円の赤字(共に親会社株式に帰属する四半期純損益)となった。

 国内線の利用者数も4~6月は前年同期比でANA88.2%減、JAL86.7%減となった。6月後半から感染者数が一時的に減少したことにより、やや回復傾向が見られたが、7月22日からGo Toキャンペーンがスタートしたものの、同時に感染者数の大幅増加によって週末であっても満席便はほとんどない状態になっている。

 私は緊急事態宣言中に飛行機は一切利用しなかったが、取材も含めて緊急事態宣言中も週1回のペースで羽田空港を訪れ、現在も週1~2回のペースで飛行機利用や取材などで羽田空港を利用しているが、利用者数の大まかな流れが分かるのが駐車場の混雑具合だ。例年は夏の旅行シーズンになると、羽田空港の駐車場は平日でも午前中に満車になることも珍しくないが、7月の4連休初日の7月23日の朝でも空車が目立ち、問題なく駐車できた。

 忘れもしないのがゴールデンウイークの駐車場にはわずかな車しかなかったことだ。第1、第2ターミナルともに1~4階までのみ利用可能で(連絡通路は4階)それ以外の階は閉鎖され、いつも空車がほとんどない4階に楽々駐車できた。6月に入り、ある程度の駐車する車が見られるようになり、現在では少なくても4階は埋まるようになり、タイミングによっては3階にも多くの車が駐車するなど、利用者が一定数戻ってきたように感じている。

 しかし、満車になるには程遠い状況が現在も続いており、お盆期間の国内線予約状況を見てもANAで64.8%減、JALでも61.2%減になるなど、この数週間の感染者拡大によって特に帰省を取りやめるケースが増えている。

 今後、さらに減少する可能性もある。ANA、JALをはじめ国内線のほとんどの航空会社が7月下旬になって8月運航便の追加減便を発表したが、取材を進めてみるとGo Toで期待していた夏休みの予約が思ったほどにならなかったようだ。9月以降、さらに厳しいという声も聞かれる。

 駐車場においても、例年は夏休み期間は通常は24時間あたりの上限が2140円(多客期)に引き上げられるが、今年はゴールデンウイーク同様に多客期料金が適用されずに通常期の上限1530円のままとなっている。早く駐車場にも車が戻ってくる日が来てほしいと願うばかりだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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