【交通トレンド分析68】新千歳「快速エアポート」から分かる回復状況 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 以前、本コラムで羽田空港の利用者が多いか少ないかは空港ターミナル直結の駐車場の混雑具合である程度の判断ができると書いた。私は9月13日の昼に札幌へ向かうべく、JALのターミナルに直結する「P2」に駐車した。15日をもって東京23区の飲食店における22時以降の営業自粛要請も解除され、Go Toトラベルも10月1日から東京都発着除外が解除される方向になった。少しずつではあるが、旅行客が戻っているように感じた。

 その根拠として、羽田空港の駐車場は満車にはならないが、ターミナルに直結する階だけでなく、いくつかの階で満車の表示が出ており、駐車している車も新型コロナウイルス以降、最も多く感じた。

 今回は北海道の新千歳空港へ向かったが、飛行機は半分弱の便が運休していることもあり、私が搭乗した便も7~8割の搭乗率だった。だが、新千歳空港が混んでいるかどうか判断できるのは、駐車場以上に新千歳空港と札幌駅を結ぶJR北海道「快速エアポート」である。

 昨年3月までは1時間に4本の快速エアポートを走らせていたが、当初は3月末から国際線の発着枠が拡大することでさらなる訪日外国人(インバウンド)の増加を見込んでいた。そして、慢性的に快速エアポートが混雑していたこともあり、ダイヤ改正で1時間に5本(12分間隔)に増発した。新型コロナウイルスの影響で一時は間引き運転をしていたが、現在は1時間5本のダイヤに戻っている。

 私も15時過ぎの新千歳空港到着後に利用したが、発車3分前でも楽々、追加料金530円で利用できる指定席「uシート」を買うことができ、それも隣に人が座らないくらいの状況だった。まだ乗車券のみで利用できる普通車も全員着席できていた。そして全般的に1~2泊の短い滞在期間の旅行者や出張者が多く、大きなスーツケースを持っての旅行者は非常に少ない。当然ではあるが外国人観光客の姿は皆無であった。とはいいながらも以前の15分間隔から12分間隔になったことで、これまで以上に乗りたいときに乗れるようになったことは大きく、発車間際に急いでホームに行く必要がなくなった。

 9月19日から22日までは4連休となるが、新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向になったことで9月10日ごろから各航空会社では急に予約が入るようになった。臨時便を設定や機材を大型化するなど減便率が40~45%程度になっていることの反動もあるが、回復傾向にあるのは間違いない。快速エアポートの車内も4連休は混雑する列車もありそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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