新型コロナウイルスの影響拡大で国内のビジネス出張も減少している傾向にあるが、過去最安値でANAやJALの株主優待券がチケットショップやネット上のフリマアプリやオークションサイトなどで手に入れることが可能だ。
ANAやJALの株主優待券は、年間を通じて利用できる普通運賃の約半額で航空券の購入ができる。予約変更も何回でも可能で、出発当日20分前まで購入できるなど、予定が読めない時、変更、キャンセルリスクがある場合に重宝している人が多い。11月下旬に東京・新橋のチケットショップで両社の価格を確認すると、1800円前後で取引され、ネット上では1枚1500円以下で取引されるなど、私が知る限りの過去最安値といえる。通常時期でANAでは羽田―新千歳線で1万9010円、羽田―福岡線で2万1300円、羽田―那覇線で2万2460円、羽田―伊丹線で1万2750円(全て片道)、JALでは羽田―新千歳線で1万9660円、羽田―福岡線で2万2600円、羽田―那覇線で2万3710円、羽田―伊丹線で1万3400円となる。上記の金額に株主優待券の入手した金額が実際の支払い額となる。繁忙期は若干運賃が上がるが、上級クラス(ANA「プレミアムクラス」、JAL「クラスJ」「ファーストクラス」)での利用も得に利用できる。
取引価格が下落している背景には、緊急事態宣言で国内線の利用を控える呼び掛けがあり、ANA、JAL共に今年5月末有効期限の株主優待券が11月末までに半年間有効期間が延長されたことがある。さらに11月末有効期限の株主優待券の有効期限も2021年5月末までに延長された影響もあり、市場に流通する株主優待券の量が増加したことも理由だ。加えて、株主優待券の利用が多いビジネス需要が減少していることも背景にある。
航空券単体はGo To割引の対象外となっており、最近ではGo To割引が適用できる飛行機+ホテルがセットになった旅行会社や旅行予約サイトなどで購入可能なダイナミックパッケージ(DP)を利用する人が増えている。11月24日~12月15日出発分の札幌市、大阪市を目的地とした旅行が一時除外となったが、それ以外の目的地については記事執筆時点ではGo Toトラベルが継続されているが、除外にならない限りは万が一キャンセルする場合には7日前から30%、前日になると40%になる。今後もパッケージ商品に比べると割高にはなるが、コロナ禍において航空会社の株主優待券が重宝するケースがさらに増えそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)