【交通トレンド分析97】3回目の緊急事態宣言中のGW傾向は 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 4月25日から3回目の緊急事態宣言が東京都、大阪府、兵庫県、京都府の4都府県に発令され、5月11日までの17日間が対象となり、ゴールデンウイーク期間中の緊急事態宣言が確定した。

 2回目の緊急事態宣言では行われなかったテーマパークへの休業要請も行われ、スポーツイベントも無観客試合を要請し、最も驚いたのは緊急事態宣言が発令されている都府県では、レストランなどにおいて終日アルコールの提供を見合わせるという措置を取った。だが、今回の緊急事態宣言においては、旅行に関連する飛行機や鉄道などの交通機関の利用、さらには宿泊施設への休業要請は行われていないことに加えて、緊急事態宣言が四つの都府県のみで全国が対象にならなかったことから、緊急事態宣言対象エリア外へのゴールデンウイーク中の旅行はキャンセルせずに予定通りに旅行へ出かける人が多い傾向になりそうだ。

 全体的な傾向としては故郷への帰省は取りやめる一方で、旅行においては目的地の感染者数の推移によって判断するという状況で、各航空会社では4月23日に国内線のゴールデンウイーク期間中の予約状況を発表している。

 近年の傾向(コロナ前)としては首都圏や近畿圏から観光地へ向かう旅行者だけではなく、東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケット(今年は中止)をはじめ、東京都内でのゴールデンウイーク期間中のイベントも増えたことにより地方の人が東京へ遊びに来る傾向が多く見られていた。

 しかし、今年の数字を見ると、ゴールデンウイーク初日の4月29日において、東京や大阪から地方へ向かう下り便の利用者が、地方から東京や大阪へ向かう上り便の利用者の倍以上となっており、首都圏および近畿圏への旅行者は非常に厳しい状況となっている。

 そういった状況は宿泊施設の料金にも大きく反映されている。リゾート地や温泉地などにおいては、2年前に近い水準の宿泊料金にも関わらず、緊急事態宣言外エリアなどでは満室になっているホテルや旅館がある一方、東京、大阪、京都などでは高級ホテル、旅館などにおいて、Go Toトラベル実施時の35%割引をした金額よりも安い料金で販売されているケースも目立っており、大きな格差が出ている。

 特に緊急事態宣言発令地域ではお酒が飲めないことも含め、旅行に出かけて宿泊施設の広い部屋でのんびり過ごし、ステイホーム疲れを癒やしたいという気持ちも理解できるゴールデンウイークになりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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