【令和時代における交通インフラの人材採用12】バスの形態(3)観光バス 女性バス運転手協会代表理事 中嶋美恵


 観光バスはバスの最高峰と呼ばれており、バス運転手の新たななり手には「いずれは観光バスを運転したい!」と憧れる方も多数いらっしゃいます。

 一言で観光バスといってもその内容はさまざまで、遠足、修学旅行、社員旅行、町内会の旅行等々のいわゆる「ザ・観光バス」もあれば、果物狩り、グルメスポット観光スポット巡りなどの「観光ツアーバス」もあります。

 また、浅草ルート、お台場ルート、横浜ベイエリアルート、神戸酒蔵ルートなど一定の観光スポットを巡る「観光周遊バス」は、最近ではオープントップのダブルデッカー(天井がオープンになった2階建てバス)やレトロな車体のバス、かわいいラッピングを施したミニバスが人気です。

 変わったところですと、道路から水面(川、湖など)を走行する「水陸両用バス」もあります。

 観光バスというと多くの方はバスガイドさんを連想されると思いますが、最近では高齢化傾向にあり、人数も減少しています。子どもの頃、遠足や修学旅行で、バスの中でガイドさんの歌を聞き、バスの前でガイドさんと一緒に記念写真を撮った楽しい思い出が忘れられません。その経験を元に、将来バスガイドになりたいと思った子どもたちもたくさんいると思います。

 近頃、観光バス事業者を訪問すると「バスガイドを採用したいのだけれど、なんとかならない?」とご相談を受ける機会が増えています。バスガイドという職業をまた盛り上げる手段も考えなければならないと感じています。

 政府は訪日外国人観光客の目標を「2020年度4千万人」「2030年度6千万人」と掲げています。いわゆるインバウンドですが、その移動手段としてなくてはならないのがバスです。

 元々は団体旅行が主流で、特に中国人観光客による「爆買い」という言葉が飛び交っていましたが、昨今は「FIT」と呼ばれる個人旅行客の割合が増加しており、観光目的の訪日外国人の約7割が個人手配や個人旅行向けパッケージ商品を利用しています。

 そのような旅行形態の変化は、バス業界も少なからず影響を受けており、団体で利用するインバウンド専用バスから、個人で手配するバスへと移行しているのが実情ですが、それでもなお、観光バスは日本の観光産業を支えていると言えます。

 (リッツMC代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事)

 
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