外国人旅行客の不便なくす「おもてなしソリューション」
NECグループでは、人が豊かに生きる「安全」「安心」「効率」「公平」な社会を実現するために、ICTを活用して社会課題を解決する社会ソリューション事業に力を入れている。そのNECグループの一員として、映像機器を中心にソリューションの提案を行っているのが、NECディスプレイソリューションズだ。望月一栄・執行役員国内販売本部本部長に観光市場に向けた取り組みについて聞いた。
――観光市場へはどういう販売展開を。
「『おもてなしソリューション』を第一に考えている。訪日外国人旅行客が増えているが、言葉のコミュニケーションギャップや、情報を入手する表示画面が多言語になっていなくて不便を感じたという声がまだ多く聞こえる。そこで多言語対応ソリューションと、視覚に訴えるデジタルサイネージのソリューションをより一層拡充して、地域経済の活性化と観光立国の実現に向けた取り組みに貢献していく」
「ここ数年、日本では災害が非常に多い。訪日外国人旅行客の言葉や情報の壁をなくすために、平常時に広告や観光案内などが流れているデジタルサイネージが、非常事態の発生時には瞬時に『Jアラート』に切り替わる仕組みづくりも非常に大事だ。われわれは、そういう提案もしている」
――現在、旅館・ホテル市場にアピールしている製品は。
「高輝度、高精細の『プロジェクター』と『パブリックディスプレイ』、そして、新たに自社ブランドで本格参入した『LEDディスプレイ』を3本柱としている。プロジェクターでは、昨年後半発売の6千ルーメンの製品が推奨だ。明るく大きな会議室でも使用でき、特に静音性が優れている。ランプの交換が不要な固体光源なので、メンテナンスフリーで長時間使えるのもメリットだ」
「パブリックディスプレイでは、これまで『美映(ミハ)エル』を提供してきたが、さらに、高輝度、高精細のLED表示装置『屋内向けLED―poster』を加えた。明るい照明下、外光の差し込む屋内でも視認性が高いのが特徴だ。大きさは高さ1.9メートル、幅2.5メートル。ホテルの宴席で映像を流すのにも非常に優れた製品だ。メディアプレイヤーが内蔵されていて、これ1台で映像コンテンツを流せる」
「LEDディスプレイは、映像を大画面で表示するのに最適なデバイスだ。昔は屋外用だけだったが、今は屋内に適した商品のラインアップを増やしている」
「機材はもちろんだが、『AdWindow(アドウィンドウ)』というデジタルサイネージシステムを使った提案も強化していく。われわれは独自にソフトウエア開発部隊を持っており、旅館・ホテルの皆さまの要望に応じてカスタマイズできるのが強みだ」
――映像技術の進展によってこれからの観光はどう変わるだろうか。
「NECではいろいろな認証技術を持っているが、中でも精度が世界ナンバーワンという評価を得ているのが顔認証だ。観光での活用シーンとしてNECは今、旅行者が顔認証とクレジットカードを登録すると、空港や宿泊施設、飲食店、商店などで手ぶら、顔パス、キャッシュレスの観光ができる実証実験を南紀白浜エリアで行っている。われわれは、おもてなしサービスの内容などについて旅行者へ案内するディスプレイの部分で連携している」
「20年4月からスタートする成田空港の新しい搭乗手続き『OneID』にNECの顔認証技術が採用された。OneIDでは、あらかじめ顔写真を登録すると手荷物預け、保安検査、搭乗ゲートの場面で搭乗券やパスポートを提示する必要がなく、顔パスで通過できる。説明用のモニターなどに関してわれわれも連携している」
――20年の年頭に当たり、抱負を。
「オリンピックイヤーということで20年を目指し、人々にいろいろな情報を提供するデジタルサイネージソリューションの活動を進めてきて、その最終年に当たる。だが、オリンピック後もデジタルサイネージ市場は拡大すると見込まれており、今年が終点ではない。観光立国・日本では20年に訪日外国人旅行客4千万人、30年に6千万人を目指している。訪日外国人旅行客や日本人へのおもてなしソリューションは、まだまだニーズとしてあるはずだ。今後もおもてなしソリューションをキーワードに、NECが目指す、人が豊かに生きる社会の実現に向けて貢献していきたい」
望月執行役員
NECディスプレイソリューションズ