【体験型観光が日本を変える 130】吉本に見る働き方改革 体験教育企画社長 藤澤安良


 テレビ番組で、お笑いはもとより、バラエティ、クイズ番組など、見ない時はないというのがお笑い芸人やタレントであり、中でも約6千人を抱える吉本興業所属の芸人の活躍は目覚ましいものがある。

 その芸人の闇営業や反社との付き合いを巡って、芸人と経営者側が相次いで記者会見を長時間にわたって行い、それ以外のギャラ分配比率や賃金格差、雇用契約書などの問題も浮き彫りになり、大きな社会問題になっている。会社側の就労機会拡大の努力もうかがい知れるが、以前から若手芸人のギャラについては1回数百円や月給が数千円などと、到底生活が成り立つはずのない金額が聞こえていた。

 法定最低時給の比較にならない低賃金である。芸人という特殊な業種ゆえなのかもしれない。慣習と生活が成り立たない現実がある中で、闇営業や暗黙といわずにアルバイトを認める必要がある。働き方改革を推進する政府機関と関係が深く、テレビ界での露出が多い同社の体質改善が待たれる。

 同時に、他の業種業態でも賃金や雇用条件、その雇用契約などを巡って不備なところはいくつも見ている。とりわけ観光産業や宿泊飲食業などのサービス業はお客が来て初めて労働になる場面も多く、労働密度が変動的であり類似した業態である。「人の振り見てわが振り直せと」いうことわざもあり、日本中が働き方の前の、働く場や条件の改善をする機会としなければならない。

 やっと梅雨明けになったと同時に猛暑が訪れ、いよいよ夏本番ということになる。夏休みの旅行は連泊滞在型が多くなるが、そこに欠かせないのが体験プログラムである。これから、地方に航空機で飛んで体験プログラム作りやインストラクター養成講座を行う予定だ。

 体験すればいいだけではない。体験プログラムを通じて参加者とインストラクターなどの受け入れ側との交流があり、共通体験により互いが心高まるものでなければならない。楽しかった、面白かったという以上に、勉強になった、感動したなどの言葉が聞けるものでなければ、リピーターも引き連れリピーターも口コミにもつながらない。

 どんな要件が必要なのか。(1)大変なことが良い。誰にでも、簡単にできないから、優越感が生まれ自慢と自信が生まれる(2)難しいことが良い。乗り越えた喜びがある。達成感がある(3)時間がかかるのが良い。交流があり、人間関係が構築できる。飲食や宿泊が必要になる(4)危ないことを安全するのが良い。安全対策や危機管理や健康管理が体験からノウハウとして身に付く(5)原始的や旧式で不便なもの。手先や体を十分使い、工夫が必要になる。合理性を見いだすプロセスは創造力、問題解決能力の向上につながる。

 この夏は誰もが旅先での体験プログラムに挑戦してほしい。旅の志向とマーケットが大きく変わる時代の始まりになる。

 ※7月27日付の「日本一高いところの宿」は眼前に3千メートルを超える山々が連なるロケーションを指しており、志賀・高峰・美ヶ原などの高原には2千メートル付近に宿が散在します。

 
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