【体験型観光が日本を変える 159】修学旅行は守るべきだ 体験教育企画社長 藤澤安良


 新型コロナウイルスの感染防止対策として、入国・渡航の禁止、外出禁止などが相次いで発令されている。とりわけ、イタリアの死者が4千人を超えた。感染数の違いは、清潔好きな日本人と社交的なイタリア人との生活環境の差が影響している。

 日本は要請の段階ではあるが、不要不急の外出自粛はテーマパークの休業やスポーツ、あるいは祭り・イベントの中止や延期につながり、行き場のない状況が続く。経済に対する影響は計り知れない。

 内部留保がある大企業に比べて、余裕のない中小企業は資金繰りが大変である。貸してくれても、返す見通しが立たなければ破綻のリスクを背負うことになる。その前に、職を失う非正規社員、アルバイトやフリーターは生活ができなくなる。

 新卒の内定取り消しも起こっており、奨学金の返済もできなくなる。中小企業と生活を守る政策が望まれる。

 コロナによる倒産・破産、自殺をさせないために国家がある。国民全員に一律の給付金も有り難いが、使用目的が限定されなければ、余裕のある人は預金に回し、意志の弱い人は良い使い道にならない。

 観光産業が大きな痛手であることからも、以前から主張している通り、宿泊、飲食、交通、体験、入場に支払い可能な旅行クーポンも3万円程度入れるべきである。印刷の手間を考えても5月連休後から、来年の3月末日まで有効なら、使い道が多い。

 今は我慢。先には旅で夢とロマン。それらを取り込もうとする観光関係者の動きが活発になることも相乗効果である。大きな課題となっている修学旅行は準備に時間がかかるため、少なくとも1カ月前には日程の延期を判断しなければならない。

 3~4月実施はほぼ取り消しや延期になっている。修学旅行の目的地として多い沖縄は3月だけで約3万人に上るとみられている。延期日程も、修学旅行航空運賃の差額も、全ては生徒ファーストで考えるべきである。

 そんな騒ぎの中、沖縄に飛んだ。航空機は機材を縮小しても搭乗率は3割程度と大苦戦である。道路もホテルも空いている。本州の初夏のようなさわやかな気候で海に入らないなら、ベストシーズンといえる。人が少ないといえどもさすがに観光地・沖縄である。人気のスポットは若いカップルや女性でにぎわっている。女子高校生のグループも多く見られた。いわゆる卒業旅行である。

 卒業式から3日後だというグループは2年生の修学旅行で沖縄を訪れての再訪である。修学旅行が好印象で終わるとリピーターになる可能性が高くなるという証明でもある。高校生活の印象や思い出の一番が修学旅行である。修学旅行を何としても守る必要がある。

 受け入れ地域は修学旅行の延期に向けて最大限の努力をしなければならない。修学旅行が新学習指導要領やSDGsに取り組み始め、学び方も変わり、体験、食育、教育民泊が活用される今こそ、あらゆる日本の地方が修学旅行の獲得に向けて取り組める時代となった。新しく行動を起こすことも活性化の道である。

 
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