【体験型観光が日本を変える 177】コロナ感染再拡大を憂慮 体験体験教育企画社長 藤澤安良


 新型コロナウイルス感染症は7月下旬から急激に全国各地で拡大している。東京で500人に迫り、岩手でも当初から約5カ月間感染者が出なかったがついに出た。

 地域により、1日の感染者数が連日最高を記録するなど、感染拡大に歯止めがかからず、全国で4万人を超えた。東京は酒を提供する飲食店に時短要請するなど、再び自粛と要請が増える事態となった。

 「Go Toトラベルキャンペーン」が始まりお客が動き出したが、当初の旅行者が還付金申請をする期間では、宿泊施設での宿泊証明書が発行される施設と後日送付する施設、Go Toの手続きを示したポスターを張っておきながら、発行をしないのか、忘れたという施設もありさまざまである。

 現場での混乱は続いている。宿泊代金は、0TA経由はすでに割引クーポン適応として割引額で発売されているが、それが県レベルなのか、Go Toを反映しているのか、分かりづらい。8月上旬の新型コロナ安全対策ガイドラインに関する講演会では、小規模宿泊施設からはいろいろな質問が出た。大きな上部団体に加盟していない民宿などは、どのように顧客対応すればいいのか戸惑っている。

 発熱(37.5度以上)、咳、寒気・悪寒、筋肉痛、頭痛、のどの痛み、味覚または嗅覚の異常などの感染症状をチェックリストで確認し、いずれの症状もないお客のみが受け入れの対象となるべきである。

 また、施設では感染防止対策(手洗い、うがい、社会的距離、マスク着用、その他)に従うことを条件にするなどを伝えたが、お客にあまり強く出られなかったり、到着した人に高熱ですからと宿泊をお断りするのは難しいなどと、弱い立場の声が聞こえる。

 しかし、お客側も受け入れ側もその家族も互いに命に関わることとなり、施設から感染者が出た場合、後の経営に大きなダメージを与えることとなる。予約時にその対策に応じることを条件にすべきであるし、現場でも毅然とした対応が必要になる。

 旅は、互いの信頼関係の上に成り立っている。そのような小規模施設がGo Toの恩恵を受けられるのか、この点でもはっきりしない。大手巨大ホテルや旅館だけが苦しんでいるのではない。見切り発車を絵に描いたようなものである。いち早く、軌道に乗せる手立てを講じてほしいものだ。

 お盆が迫り、間もなく始まるであろう帰省ラッシュは「考えなければいけない」など、思わせぶりで無責任な発言をする人もいる。Go Toのアクセルと帰省のブレーキは矛盾そのものである。整合性があり、納得できる、分かりやすい説明と、責任をとる政策を示すべきである。

 報道によると、日本のPCR検査数が7月末現在、世界158位と、先進国とは言えず、アフリカの途上国と肩を並べている。陽性は隔離し、陰性が活発に動くことである。全てはここから始まる。

 
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