民間調査会社の都道府県別全国魅力度ランキングで、世界遺産の日光東照宮や華厳の滝、中禅寺湖や戦場ヶ原、そして多くの温泉地があり、さらには餃子で有名な宇都宮もある栃木県が最下位の47位となった。日光へは、国内外の観光客はもちろんのこと、多くの修学旅行生が訪れている。上位にランキングされても不思議ではない。
あるクイズ番組で四国の白地図で4県はどこか、などと誰でも分かる常識以前の問題が出され、多くの人が不正解であった。あまりの無知さ加減に驚いたが、千葉県に位置する東京ディズニーランドは東京にあると思っている人の方が多いように、魅力ある観光地や観光資源と都道府県名が一致しないことに要因がある。
むしろ旅人は、それが何県であろうと、市町村境界がどこであろうと大きな問題はないのである。行政単位にこだわり続けているのは行政だけである。個々の魅力をアピールしての総合的な結果が実績であり経済である。魅力度ランキングよりも経済実績こそが真の魅力の裏付けである。
新型コロナウイルス禍やコロナ後は旅の目的や価値観が大きく変化することを見据えて、体験交流や地域ならではの味覚、自然や田舎の魅力を整備し磨き上げ、商品化し、巻き返しのモチベーションにつなげる力とすべきであろう。
先ごろ2019年の統計が発表された。児童生徒の、いじめの件数が61万件を超え、不登校18万人、暴力行為も7万8千件、自殺者も317人と残念ながらいずれも増え続けている。子どもを取り巻く社会的環境がいかに殺伐としているかという証でもある。
小中学生が放課後も土・日曜も夏休みも野外で遊ばない。野山や海や川も田舎の子どもですら機会が激減している。
コロナ禍において、多くの企業が史上空前の赤字を計上する中、在宅、巣ごもり状況でゲーム関連の売り上げは伸びている。引きこもりも当然増えることが予想される。このような現状を打破するには、当然足りないものを補うことになる。体験交流から多くの人とのコミュニケーション機会を増やし、人間関係構築能力の強化である。
外食から自宅でと言いながら、確かにレシピ本やアプリを見て作った人も多いが、それ以上に出前宅配が大きく伸び、コンビニやスーパーの、温めるだけ、炒めるだけ、湯をかけるだけなど料理をしたとは言い難い、便利な食生活になってきた。しかし、味は濃く糖分塩分油分も多く、決して個人の健康事情に合致したものではない。
さらに残念なことは、旅行しても旅館・ホテルの食事も手作りしていない他国から仕入れた食材や業務用の惣菜が並んでいることだ。お客が本当に求めているものとは大きく乖離(かいり)している。
絶滅が危惧される田舎料理の出番であり、次の時代へつなぐためにも地産地消の郷土の味覚を提供すべきである。農山漁村の食料生産現場の価値であり役割でもある。食品ロス問題も絡めて食育の実践場となる。修学旅行はもちろんのこと、あらゆる旅が大自然と田舎に向かうことになるはずである。