【体験型観光が日本を変える 94】大国に負けない国になろう 体験教育企画社長 藤澤安良


 早朝のフライトに備えて、21時過ぎに中部国際空港の近くのホテルに向かうと、フロント付近は団体客でごった返していた。隣のコンビニもレジに長蛇の列が続く。ほとんどが外国人であり、大半がわが国の人口の約11倍、13.8億人の近隣大国からである。

 コンビニ店員は流ちょうな日本語で対応していたが外国人であった。声も態度も買い物もみんな大きい。日本なのに肩身が狭い雰囲気を感じていた。

 朝6時から始まる朝食は6時の段階ですでに満席で、バイキングトレーを取るために30人以上の列ができていた。いったい何時から始まったのだろうか。エレベーターも当然大混雑だし、荷物の量が半端ではない。1人で二つのスーツケースと炊飯器の段ボール箱、それを空港の荷物カートでホテルの客室まで持ち込んでいる。

 たまにそんな人がいるのかと思いきや、客室前の廊下の半分を占めるぐらいで放置していたり、30代の外国人女性添乗員まで客室に持ち込んでいたり、朝食レストランにも、空港に近いホテルとはいえ5分以上は歩くし、フロント前から定期的に空港までシャトルバスが出ている距離である。明らかに、空港の一部とは言い難い。私の知らないうちにルールが変わって寛大になったのだろうか。

 過日の紙面によると深刻な人手不足から国内の企業倒産が件数・負債総額ともに過去最多ペースで増加しており、従業員が確保できなかったり、賃金を無理に引き上げ収支が悪化したケースが多いとある。

 農業、建設、宿泊、介護、造船の特に人手が足りない5分野に限定し、技能試験と日本語試験に合格すれば、最長5年の在留資格が得られる。人手不足が背景にあり、少子高齢化でさらに深刻化するだけに、その対策に1歩踏み込んだ形だ。果たして人手不足を解消できるのか、その結果が注目される。

 一方で、ニート(非就業、非求職、非通学、非職業訓練、非家事の15歳から35歳までの未婚者)は56万人(15年実績)。スネップ(孤立無業者20~59歳の在学中ではない無職の未婚者で関わりを持つ人が家族以外に一切ない人)が162万人、引きこもり(39歳まで)は54万人と、カウントの時期や重複はあるが、言わば日本人の非労働者がかなりの数に上るという残念な現状がある。

 その原因の多くが人間関係によるものであり、セクハラやパワハラが横行し、社会問題になる中、打たれ弱さや、交渉能力や自己や職場解決能力の弱さなど、対人対応能力弱さも否めない。人間関係力の向上はその手のハウツー本でもネットやテレビ、あるいはスマートフォンを駆使しても容易に向上しない。

 生身の人間と交流コミュニケーションできる機会こそが人間関係力向上の特効薬であり、そのプロセスが体験プログラムである。外国人からの外貨獲得の体験プログラムも当然だが、日本人の労働力向上にも、幼児や学校教育、そして企業研修でも積極的に取り入れなくてはならない。

 
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