【体験型観光が日本を変える200】会長交代は会議の在り方に一石 藤澤安良


 13日夜に10年前の東日本大震災の余震だとされる地震が起き、都心でも大きな揺れを感じた。「災害は忘れたころにやってくる」と言われている。まだまだ忘れてはいない。つまりは、このような余震は続くと理解し、常に備えは必要である。

 2カ月に及ぶ緊急事態宣言が半ばを超えて、週末や日中に出歩く人の数は少なくないが、感染者は減少している。感染防止対策が徐々に定着しつつあるのだろう。

 ワクチンの第1便が到着し医療関係従事者から接種が始まる。その次は、単に65歳以上の高齢者と言われても、クラスターが心配される施設や病院入院者は別として、活動範囲が狭く、知らない人との接触がほとんどない高齢者はとても多い。年齢よりも、生活のスタイルによる場合での判断が効果的である。

 出張や修学旅行をはじめ、旅行に行く人など移動する用事のある人、さらにはそれらの人々を受け入れる産業従事者や関係者から始めるべきである。

 そんな中、旅行会社や運輸関係の業績は極めて厳しく、店舗数縮小、希望退職募集、社屋ビル売却と固定経費削減に動かざるを得ない状況下にある。

 完全失業者数は200万人に迫っており、それらの退職者が次の職を得るのも容易ではない。Go Toが復活すれば有り難いが、一時的な効果である。感染防止対策、検査体制の拡大、ワクチン接種など根本的な態勢づくりが不可欠だ。

 また、ネット販売が主流になっている中で旅行業界の体質改善が求められている。教育旅行、社員教育、SDGs、CSRなど人が関わってしかできない旅の作り方こそが生き残りの戦略であり、その商品企画の中心にあるのが体験交流である。旅行会社の経営の感性が問われることになる。

 東京五輪・パラリンピック(オリ・パラ)はあと5カ月後に迫り、組織委員会の会長交代という大変な状況下にあるが、開催するなら同様な体制づくりが必要となる。ここに来て、組織委員会の交代劇はジェンダーの問題のみならず、日本の会議の在り方にも一石を投じた。

 会議は短い方がいいとか、事を荒立たせたくないとか、体制に反論する等は好まれないなどの風潮があり、みんなの前で意見を聞いたとすることで仕事をしたとアリバイ工作のように形骸化している会議も少なくない。また、会議ばかりしている会社も見てきているが、そんなに会議をして業績が上がるのか。もうかるのかとやゆしたこともある。

 忖度(そんたく)せず、わきまえすぎず、自由闊達(かったつ)に意見を言う場があることが望ましい。議論を尽くす時間を想定した会議があってもいい。会議は早く終わった後の飲み会で、会議では言えなかった本音や愚痴が延々続く場合も見ている。そちらの時間の方が非生産的である。

 国会議員や官僚のあらゆる不祥事等、国民のモチベーションが下がる話ばかりが多い。コロナ対策も東京オリ・パラも巨額のお金と準備にいたる労力を無駄にしないためにも、首相や会長が誰であろうと明るい未来を開く、希望に満ちた力強い政策とメッセージを発信してほしいものである。

 
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