【体験型観光が日本を変える217】コロナの怖さ、若者は理解を 藤澤安良


 新型コロナウイルスの感染者が下げ切らない中、沖縄を除いて緊急事態宣言が解除され、「まん延防止等重点措置」に移行された。東京オリンピック開催に向けて、東京をはじめとする首都圏の下げ止まり感は心配の種となる。

 新規感染者数に一喜一憂している陰で、重症者数も気にしなければならない。重症者数が減ったと思いきや、死者数が増えていることに気づく。

 つまりは、毎日数十人が亡くなっており、欧米諸国に比べて日本の死者数が少ないとはいえ、累計の死亡者は1万5千人に迫っており、未曽有の大惨事であった東日本大震災の直接死者数1万5899人にも迫っている。

 そんな中、緊急事態宣言下とはとても思えないほど、自粛マンネリなのか都心の人流は増えており、若者の割合が多い。

 東京の渋谷や新橋などのターミナル駅付近では路上飲みが横行している。また、商店街の雨の降らないアーケードの居酒屋は、客席を軒先の道路まで広げ、5人が大きな声で談笑しながらマスクをせずに午後飲みしている情景を見た。夜ではなかっただけで、我慢でも自粛でもないような緩んでいる姿であった。今後の課題が鮮明になった。

 英国では、インド型の変異株(デルタ株)に99%置き換わり、高齢者よりも5歳から30歳の若い人を中心に、いったん収まりかけていた感染者数が再拡大しているという。

 日本でも、学校でのクラスターが発生しており、その変異株が拡大傾向にあるが、それを確認するスクリーニング検査が3割程度と少なく、正確な実数がつかめておらず予断を許さない状況である。

 安易に考えている若者に警鐘を鳴らす必要がある。また、家族や学校でのクラスターを意識して、早急に自治体や大規模接種会場でもワクチン接種年齢を18歳以上とは言わずに、後に幼児までを視野に入れ、12歳以上まで引き下げるなど対応を望みたい。

 そして、オリンピック・パラリンピックの観戦者数限定の有観客で実施する方向で議論が進んでおり、新型コロナウイルス対策や大会期間中の行動ルールをまとめた選手、関係者向けの「プレーブック」が発表されている。

 思ったより厳格であるが、モラル、ルール、法律を守らない人が少なくない社会で、それを守ってくれるかどうかが同じ大きな課題である。スポーツマンシップに期待したい。

 オリ・パラがプレーブックで開催されるなら、飲食も、イベントも、旅行もプレーブックのような参加者側に必要なルールブックを作成し、条件を満たし順守する人限定で参加できることから始めるべきである。

 (1)ワクチンを接種し、(2)PCRまたは抗原検査をし陰性で、(3)感染防止対策を万全に講じるなら、いったん、安全安心の確保ができる。「接種・検査・防止」の3策であり、それが、サービス業や観光業、旅客・運輸の復活の道である。何も策を講じず、時がたてば何とかなると考えても、未来は開けない。

 東京オリ・パラの陰で苦しんでいる人を見捨てない政策や行動が求められている。

 
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