東京オリンピック開催が近づいてきた。続々と来日する外国人選手団の中にも、空港検疫で新型コロナウイルスの陽性者が見つかっている。
水際作戦の最前線である空港検疫、選手のみならず、競技関係者や報道関係者、スポンサー企業など数万人に及ぶ滞在期間中の行動監視、感染者が出た場合の対応などコロナ対策等の課題も、何か釈然としない気持ちも山積しながら当日を迎えることになりそうである。
一方で国内の高齢者から始まったワクチン接種は進んでいる。しかし、ここにきて自治体枠とは別の職域や学校などを中心に推進している職場接種や大規模接種がワクチン不足を理由に一時休止した。その原因は予想以上の申し込みがあったとしている。
想定外は耳にタコができている。数量は日本人の人口以上にはならないわけだから、どこかに余っていて、必要なところに適切な配分ができていないことも要因の一つだとも言われている。打ち手の医師等を確保し、会場を確保した企業や自治体は政府に不信感を募らせる結果となった。
人間の知恵がないならスーパーコンピューター「富岳」を利用してでも、せっかく接種しようとする気になった人も増えているタイミングで、あらゆることを想定してワクチンが早期に行き渡るようにすべきである。
不信感はそれだけではない。経済産業省のキャリア職員2人が、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者を対象にした、自省が所管する「家賃支援給付金」をだまし取ったとして逮捕された。遺憾極まりない事件が起こった。自らが国に対して詐欺をする知恵はあるが、国民が申請しやすくする知恵はなさそうである。
想定外といえば、著名観光地の熱海市では72時間の雨量が400ミリを超え7月の観測史上最大となる中発生した土石流が発生した。その模様を撮影した動画を見ると雲仙普賢岳や東日本大震災の1シーンのような衝撃的な映像であり、早い時期での避難が必要であったことがうかがい知れる。
自治体からはその時点で避難指示の警戒レベル4は発令されておらず、観測史上最大というだけでも、過去の歴史からは想定できないことを意味する。
震災学習は事後学習だが、それは同時に、大雨洪水、土石流、地震、台風、津波など自然災害が起こることを想定した防災意識へつなげなければならない。防災学習の重要性が高まることになる。
歴史もデータも体験も、全てを学びにしてこそ発展・進化つながる。抗原検査キットが最初の承認から1年2カ月がたった。現在簡易キットだけでも14品目が承認されており、ここにきて、代金も当初の3分の1以下となった。都心では抗原検査の陰性で入店できる飲食店が出現している。
また、オリンピックで数万人が来訪する中、赤字がかさむ航空観光業界のためにも海外渡航を可能にする方策が急務となる。政府は7月末にワクチンパスポートを紙ベースで発行する。加えて検査陰性で隔離免除とすべきであり、観光経済を動かすことが五輪開催の価値になる。