【体験型観光が日本を変える226】パラリンピックの無事成功を祈る 藤澤安良


 東京オリンピックが終わり、その関連があるとは言えないが、新型コロナの感染拡大が止まらない。8月25日には10道県で過去最多の感染者数を記録し、27日から緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象が全国33都道府県にも拡大することになった。

 医療機関が逼迫(ひっぱく)しているとか言っているが、明らかに医療崩壊を起こしている。2千人を超えた重症者の入院病床も足りず、自宅療養者が12万人に達する勢いである。自宅には、治療薬も、点滴も、酸素吸入器もない状況で、症状が急変し死に至った人も少なくない。

 看護する人も診療する人もなく、1回も診療されずに放置されている状況で、何をもって療養などと言えるのか、認識の甘さが国民の不安を募らせている。

 そんな不安感もあってか、東京都が27日に予約のない若者に、当日受け付けでワクチン接種を始めたが、わずか300回分しか用意しなかった。長蛇の列を見かね、受け付け開始時刻を前倒ししたが、なんと午前7時30分に予定分が終わってしまう有様。

 都の職員からは「そんなに来るとは思わなかった」との弁。地方の県の職員ならまだしも、東京の人口を知らないのか、社会性のない浮き世離れした情けない弁解だ。

 政府は10月10日に12歳以上の希望する国民の2回分のワクチン配布が完了すると言った。相馬市など、2回分の在庫を持たずに打ち続けた結果、8月末で中高生を含め接種率が86%を超えた。

 つまりは、やり方次第では配布完了日を接種完了日に近づけることができる。切り札というなら、それぐらいのスピード感は当たり前であろう。

 また、都市圏の感染者数は検査数の増減にも関係しており、この状況下では検査が追いついていない。見方を変えれば、検査をしていない陽性者が市中に出回り、感染拡大し続けていることも想定される。

 1年以上前から言っているが、昨年5月に厚生労働省が承認した、簡単にできて、短時間で結果が出て、比較的安価な抗原検査を組織的にやるべきである。プロ野球でもソフトバンクはワクチン2回接種かPCR検査陰性でチケットを購入できるとしている。若年層に感染拡大が及ぶ中、新学期が始まり、児童生徒への感染拡大が懸念される。

 25日、政府は80万回分の抗原検査キットを配布すると発表した。学校や保護者間では、検査で陽性が判明するとかわいそうだとか、差別されるとか、これだけ経路不明で、夜の飲食店で大騒ぎしているはずもない児童生徒にまん延しだしている。

 感染が悪でも恥ずかしいことでもない。そんな意識レベルは教育力で克服すべき次元である。

 その検査やワクチン接種が当然の条件としながら、早急に観光経済も進めていくべきである。

 そんな中、パラリンピックが開幕した。障害を乗り越えて躍動する姿は驚く場面ばかりである。多くの人々に勇気と元気と希望と感動を与えている。そのパラリンピックが開催された以上、選手や関係者に感染が拡大せずに無事に閉幕することを祈るばかりである。

 
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