【体験型観光が日本を変える244】過去の教訓を生かせ 藤澤安良


 新型コロナはオミクロン株の猛威がとどまるところを知らず、全国各地で1日の感染者数の最多を記録し続けている。

 まん延防止措置等重点措置が出されていない県の方が少なく、東京での1日の感染者は11月から昨年末まで2桁であったが、1カ月で2万人に迫る勢いとなり、病床使用率が緊急事態宣言の目安となる50%に迫っている。

 ここにきて、短時間で検査結果が出る抗原検査キットが不足し、医療機関での診断に大きな影響を与えている。当方も、全国各地に出向く仕事が多い。さすがに重点措置が出ている道府県へは行けず、仕事はキャンセルになる。まだまん延防止が出ていない県へは抗原検査キットにより毎日検査し陰性で出掛けることにしている。

 抗原検査キットは厚生労働省が20年5月13日に承認してから、医療関係者や空港検疫、あるいはスポーツイベントやエンタメでも使われてきた。私は、観光業もPCR、または抗原検査陰性で動かすべきだと主張し続けてきた。普及と増産の機会は十分すぎるぐらいあった。

 また、3回目のワクチン接種を急ぐべきだとの議論があったが、明らかに他国に比べて遅れている。ようやく3回目の接種の予約案内が届いた。7カ月超えて受けられる予約が完了したが、2回受けた希望のファイザーの枠はなく、モデルナとなった。総理と同じパターンである。

 総理の公約にもあった野戦病院などと聞こえが悪いものではなく、専用病棟をつくる話もあった。また、空港などの水際作戦の強化はピークの山を遅らせるための時間稼ぎとしていた。3回目のワクチン接種も病床確保も検査体制も間に合っていないことになる。
 第5波の後、稼いだはずの時間に何をしていたのだろうと疑問が残る。日本は政治も行政も非常時や緊急時に弱い国であることがいろいろな出来事から明らかになっている。

 また、「のど元過ぎれば熱さ忘れる」「目先の対応に右往左往するが、未来や非常時に備えることができない」「面倒やリスクのあるものは先送りにする体質」「結果より、体裁を整えたり言い訳をつくることが仕事になっている」「係や課や部署が違うと助け合わない、面倒なことは関わりたくない、他人事にしておきたい人が極めて多い時代であり国である」。

 一方で、仕事で汗をかかないが利権や保身や面子は欲しい人たちも多い。人間の弱い面が出ている。自分が怠惰であっても楽してお金は欲しい。人をおとしめてしか自分が認められないと思うのか、それが島国根性なのか、足の引っ張り合い、潰し合いが目につく。

 選挙でも、SNSでも、誹謗(ひぼう)中傷が横行している。人の不幸が心の栄養みたいな人もいる。コロナ禍で人間の心の弱さかあらわになったが、経済の面でも生活基盤が揺らいでいる人も多いはずである。

 地方創生、地域活性化を望み、SDGsも推進すべく活動しているが、富の分配と引き換えに、国家や地方に山積する課題に自分事として立ち向かうたくましさと、心の豊かさを目指す教育機会が求められている。

 
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