米国のバイデン大統領が来日し、日米首脳会議が行われた。ロシア・ウクライナ戦争、台湾有事、北朝鮮問題などが話し合われ、翌日にはクワッド(日米豪印)首脳会議も行われた。
インドに配慮してか、中露を見据えた対応策が相手国名を記さないでの共同声明となった。国際世情が混乱している中で、二つの首脳会議は外交的には一定の成果があったようにも思える。
バイデン大統領の都内の移動中に、見たいのは本人なのだろうが、結果的には車列を見ようと多くの人々が沿道に詰めかけた姿は、国民の関心の高さも見て取れた。
何が変わるのか、新型コロナウイルスで相当痛めつけられ、国債の利払いや、かさむ社会保障費、年金等より財政事情は極めて厳しい日本。加えて、防衛費の大幅な増額に向かって動きだしている。
ウクライナ戦争による、円安や生活物品やインフラ料金の相次ぐ値上げ、それなのに上がらない賃金では、タンス預金のない若者は特に厳しい暮らしを強いられることになる。旅行にまでお金が回るよう賃上げを含む社会システムの改善が求められる。
そんな中、政府は6月からの1日の入国枠が2万人まで広げられ、インバウンドの再開を視野に小規模なツアー客から実証実験を開始した。観光産業の光明が見え始めた。
また、世界経済フォーラム(WEF)の2021年の観光開発ランキングで117カ国中、日本が初めて1位となった。つまりは、世界で一番安心で魅力ある観光国として選ばれた。名誉であり、インバウンド拡大の起爆剤になる。
気がかりなのは、先進国の仲間だと誰もが思っているが、気象変動への対応は107位と世界の取り組みから大きく遅れていることである。目先の対応から、地球規模の広い視野で、未来を展望できる政策が求められている。
一方で地方の側は、新型コロナの3年間で数少ない地域の観光拠点施設(宿泊・食事・観光施設)など厳しい経営環境で、倒産、休業、廃業に追い込まれたところも少なくない。早急に、再建再生や改修など人的にも物理的にも経営基盤の再構築が必要となる。
そのためには、金持ち資本のみに頼ることなく、地域振興の御旗の元に官民一体となって多くの関係者によって推進しなければならない。それは、今までの観光戦略がそのまま通用するとは限らない。
もはや過去の延長線上に未来はない。コロナ禍の教訓とコロナ後の社会を見据えて、世界平和や環境エネルギー等のSDGsの推進と実現に向けた新しい価値観が必要になる。30年にわたって実質経済成長が停滞してきた日本は、コロナ前の焼き直しであっては未来は開けない。
人の心も行動も大きく変わるための教育が不可欠である。学校教育、家庭教育、社員教育いずれもおろそかになっている。社会の多くの現場では机上学問がほとんど通用しない。情報は氾濫するほどあるが、自分で経験体験した人は少ない。四半世紀にわたって私は訴えている。日本を救い、次代を切り開く鍵は体験型教育に他ならない。