【体験型観光が日本を変える275】西九州新幹線開業に期待 藤澤安良


 新型コロナの感染者は減少し、英国・エリザベス女王の葬儀は天皇・皇后両陛下も参列され、世界中から国家元首や政府首脳がロンドンを訪れ盛大に行われた。

 葬儀前の国民向け弔問では数十時間並んでも別れを惜しむ英国民が多く、あのサッカーのベッカムが12時間も列に並ぶなど、いかに国民に愛されていたかを物語っている。日本での国葬も迫っている。こちらも全国各地はもとより世界中から招待客が訪れることになる。

 もう、新型コロナはないような動きである。9月17日からの3連休に、大型で強い台風14号が鹿児島市付近に上陸し、日本海側の日本列島を縦断し太平洋に抜けた。上陸時の気圧は935ヘクトパスカルとその低さが観測史上ベスト4位ともいわれ、風速50メートルを超える強風と大雨が日本列島各地を襲った。

 また、隣の台湾東部で17~18日にかけて、震度6強の強い地震が2度にわたっておきた。多くの建物が倒壊するなど甚大な被害をもたらしている。地震や台風、あるいは線状降水帯など自然災害は生活はもちろん観光にも大きな影響を及ぼすことになる。

 災害の後の復興・復旧、改修のコストも甚大なものになる。地震をくい止めることは難しいが、その他の災害の根本原因ともいわれている気象変動に対し、日本はもちろん世界中が早急に取り組まなくてはならない課題である。戦争も災害も同様に生命財産を失うものであり、決して災害を軽んじてはならない。

 九州は台風の後にいいニースもある。23日、西九州新幹線は佐賀県武雄温泉から長崎までの区間で暫定開業となった。博多からのリレーかもめと3分のホーム乗り換えで最速1時間20分となり、約40分の短縮となる。短縮された時間の有効な活用を観光地が一つ増えるだけではなく新しい提案が求められる。そうすれば長崎の観光にも九州全体にも好材料となる。新幹線は快適だったが、宿や飲食はいま一つであったと言わせないよう、グレードアップに動いてほしい。

 「全国新幹線鉄道整備法」により国税は投入されているが、観光関連施設には直接負担金を出しているわけでもない。新幹線開業のおかげで観光客数が増え喜んでいるだけではなく、自らの自助努力も忘れてはならない。

 観光産業は平和の上に成り立つものであり、衣食住が整ってこその観光である。旅する者も、旅を企画する者も、風景を見るだけの上っ面をかすめる旅から、戦争や平和について考え、自然災害や自然環境問題やエネルギー等についても考え、さらには人間関係や生きざま生き方に学ぶ、人と人の交流やコミュニケーションもが活発に行われる旅が必要だと考えている。

 それは、コロナ禍からコロナ後の新しい社会の価値観となる。こころを動かす深い旅の企画提案が求められている。お客がいますぐ求めているわけではないが、時代と社会が必要としている。マーケットはあるものではなく、導き誘導し創り出すものでなければならない。その行動こそが観光産業と旅行業界の生き残り戦略である。

 
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