岸田文雄首相は異次元の少子化を強化するとして、具体的な政策のたたき台を3月末をめどにまとめるよう、担当大臣に指示をした。そんな中、子育てをどうしたらいいのか分からないとして、7歳の娘を殺害した母親が逮捕された。
少子・高齢化で子どもの出生率が低下している中で、一時金や手当てといった経済的な支援だけでいいものではない。正確な子育てマニュアルがあるわけではないが、ノウハウ本や相談窓口など、子育ての悩み解消にも政策の力点を置くべき時である。
その子育ての難しさが表面化した事件も起こった。13歳の女子中学生がスマートフォンの使い方を巡って母親との対立が起こり、母親を殺害したとの容疑で取り調べが行われている。
スマホやゲーム機などの使用でのトラブルは多かれ少なかれ常態化している。長時間使用で勉強時間も睡眠時間も少なくなり、健全な生活ができない状況が起こっている。また、動画視聴やゲームなど課金システムや通信料など金銭的にも生活費にも影響を与えている。
一番信頼し合える親子関係が殺人事件の被害者と加害者になるほど不幸な出来事はない。自制が利かなかったり、切れたり、容易に殺意に結びつくことがあまりにも多すぎる。心のケアも必要になる。
成人したとしても、元交際相手の男によって、福岡の博多駅付近の都市の真ん中で女性が滅多刺しされ殺害された。男女や対人関係は自分の思い通りにはなかなかならないものである。その原因の多くは自分の方にあると思わなければならない。
関東圏で連続している強盗事件がついに殺人にまで及んでしまった。強引に金品を奪う卑劣な行為が命まで奪うことになった。人間のあるべき姿や命の尊さを再確認しなければならない。
政策の多くは金銭や経済で行われることになるが、人間としての道徳観念や心の持ち方、あるいは命の尊厳に及ぶ教育が求められている。この分野は、誰もが苦手そうである。
新型コロナウイルス禍は高止まり状態が続いているが、政府は新年度に向けて、「2類」相当から「5類」に引き下げる検討が始まることになる。マスクも屋内でも不要論が出ている。医療費の個人負担額がどのようになるのか、心配は残るが、明らかにコロナ前の社会経済活動に戻そうとする動きである。
しかし、観光は各種交通機関や宿泊飲食施設では、当分の間マスクや手指の消毒などの基本的な対策を講じながらの運用となるはずである。人の目や人への迷惑を考える日本人らしい対応となる。そんな中で、思いの違いからトラブルが起こらないようにしなければ、楽しいはずの旅が台無しになる。
業界で対応に大きな差があっても混乱を招く。地域別、業種業態ごとでコンセンサスがとても重要になる。その対策がルールなのか任意なのかを明確にする必要があるだろう。そのような配慮や準備があって、人と人の交流や体験活動を通して、今まで以上に人としての心の高まりを得られる旅が求められる時代なのである。