【体験型観光が日本を変える310】人に会い、話し、行動を起こす 藤澤安良


 またもや幼児が虐待死するという痛ましい事件が起こった。その家族は母親も監禁虐待していた。家族間での殺し合いがあまりにも目立ってきている。親が子を守り、子が親を守らなければ誰が守るのか、他人に委ねる以前に家族が助け合って生きるのは当然のことである。家族の在り方が問われる。

 また、連続放火や器物破損事件、あおり運転などの危険運転も減らない。いずれも、気分がむしゃくしゃした等自分のうっ憤を晴らすためだという事件がほとんどだが、そんなことで、根本的な問題が解決するはずもなく、終わりが見えない。撮り鉄が電車に急接近したり、線路内に立ち入り撮影するなど危険な行為が目に余る。

 国民や市民をないがしろにし、私利私欲に走る議員のなんと多いことか。企業も虚偽申請で公金横領や、虚偽検査で消費者の命を危険にさらすなど社会的な責任をも果たせていない。全ては、自分だけよければいいという自己中心主義である。

 サービス業の労働の在り方も変わってきている。クレーマーも防御のためか、マニュアルにないことや余計なことは話さない、関わらないなど、人とのコミュニケーション機会が減少している。さらには、近年、人との関わりを極力減らそうとする傾向にある。

 登下校の途中の児童生徒に「おはよう」「おかえり」等と声を掛けて返答があった時代から、見知らぬ人からの話し掛けには応じないようにと言われているのか、無視されたり、走って遠ざかるなどということまで起きている。知っている人以外には広がらず、どんどん社会が狭くなっていく。

 その最たる例は、仕事もしない学校も行かない引きこもりの増加につながっている。人間関係の全ては、家族はもちろん、他人を思いやる気持ちが潤滑油で世の中はうまく回っていた。心の潤滑油はどこで売っているのか。どこにも売っておらず、自己生成するしかない。そして、それは人と関わることでしか得られない。

 社会での成功者の多くが人脈であったり、顔の広さであったり、つまり、人間関係の多さと広さである。「果報は寝て待て」ということわざがあるが、私の経験値からは、その言葉の前に、「やれる努力は全て行った上で」が必要である。

 つまりは、行動なくしては結果は生まれない。様子を見てばかりであったり、傍観者でいては何も起こらず、何も得られないという意味である。一方で、SNS等でのコミュニケーションやネットでの配信など双方向の理解の上ではなくても片側だけでも自己主張はできる。

 私は私はのやり方では、思いやりの配慮は希薄になる。直接会って対面でのコミュニケーション方法で学べることは多い。学校教育での修学旅行も、一般旅行も、人に会うこと、人と話すこと、行動を起こすことこそが、人間の成長につながることになる。

 日本の社会の課題に対応し、観光産業の変革と発展は、それらの要素を全て包含した特効薬である体験交流プログラムの推進であり、旅の姿が大きく変わるべき時である。

 
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