【体験型観光が日本を変える312】人間力養う場は旅行・体験・交流の機会 藤澤安良


 日本列島各地で梅雨の合間の猛暑日になっている。この夏の最高気温を記録したと報じられた大阪、奈良、京都を訪れていた。街中では訪日外国人観光客ばかりが目立っている。

 円安は日本訪問の大きな動機になっている。中でも小中学生風の子どもが同行している。欧米系を含めて家族連れが多い。学校は一体どうなっているのか。

 日本では学校を休んででも海外旅行に出かけようとする風潮はなく、学校も世間もあまりいい顔はしない。それが、決められた休み以外に旅行しないというモラル(足かせなのか)になっている。学校のある日に、韓国から児童が日本に渡航する場合に学校が認めているケースもある。

 そんな中、猛暑の日本の成田空港からお隣の台北空港に飛んだ。成田空港でも8割以上が外国人というように見える。普段、日本人で混雑する成田空港のカードラウンジも数人しかおらず、12席のパソコン専用デスクも私ひとりが利用した。おのずから、外国人と行動パターンも消費行動も違うことから、私とはバッティングせず、快適空間だが、日本人が出国しないことは海外旅行を取り扱う旅行業界的にはコロナ後の経営課題でもある。

 一方、ここでもまた、平日にもかかわらず機内でも児童・生徒が乗っており、航空会社の係員に「台湾の学校は休みなのか」と尋ねると、「もうすぐ夏休みに入ります」と言う。つまり、今は夏休みではないという意味である。

 青少年の教育で認知能力(学問)は重要であるが、それ以上に求められている非認知能力(人間力)を養う場は旅行・体験・交流の機会である。海外旅行によるグローバルな視点、世界や他国の情勢、非日常の体験や経験は貴重な教育機会となる。それを理解してのことなのであろう。

 黙認なのか公認なのか親の判断なのか、日本では土日や休み期間中に集中して混雑したり、旅行代金が高かったりと、家族での海外旅行が平準化しない原因であり、夏休みを前にして日本人の観光客の動きが少ない理由でもある。

 日本でも、児童・生徒が学校を休み、旅行や家事など使途は任せるとして、休日を10日程度付与することが望ましい時代となった。

 そんな中、日本の猛暑を上回る38度の台北に着いた。炎天下では40度は軽く超えており、体温を超える気温は人生での体験があまりない。日が傾きかけたころから、士林夜市に出かけたが、昔は物価の安さも大きな魅力であったアジア各地の夜市だが、今は日本の物価の方が安く感じる。

 現地の多くの若者でにぎわっており、景気も活気も経済も台湾のエネルギーを感じる。同時に、日本の若者の所得の低さも感じることにもなる。また、台北から特急電車とローカル列車を乗り継いで約1時間、自然豊かな小さい田舎町の十分へ出向いた。日本のどこにでもある田舎町なのに、とても多くの観光客が訪れている。

 日本のローカル線は多くは赤字路線であり、廃線の問題が議論されている。しかしそこも観光地になる可能性があることを学ぶことになる。

 
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