【体験型観光が日本を変える317】深刻さを増す地球温暖化の影響 藤澤安良


 近畿地方から鳥取に豪雨被害をもたらした台風7号は、東海道新幹線の計画運休に加えて、計画していない運休が起こり、航空機の欠航や高速道路の通行止めにも及び、お盆の多客期を直撃した。

 私は14日の朝から関西に向かい次の日に帰る予定であったが、計画運休を知っていたので日帰りすることとした。往復指定席が確保できて例年より楽に移動できたが、1日に千キロを超える移動となり、距離での疲れが残った。そして15日は計画運休、16日は予定外運休と、両日は混乱が続き、多くの人が影響を受けた。

 動きだしたお盆明けの高速道路は追突事故が相次いだ。中央道は17日の下り、18日は上り高速バスで移動していた私は両日ともに事故渋滞につかまり、いずれも1時間以上の延着となった。2カ月前には事故での通行止めにも遭遇した。

 自動運転装置や追突防止装置を搭載している車が増えているのに、これだけ事故が多いのはどういうことだ。ドライブレコーダーを搭載している車も多く、連日のように、あおり、いやがらせ、逆走、明らかな速度違反、信号無視、無謀な追い越し、当て逃げなどその映像がテレビで報道されている。

 車の性能が良くなっているにも関わらず、これらが起こり続けるのは運転者の法律、規則、モラルを守るという意識の欠如、自己中心主義者の増殖がありそうだ。つまりは、人間の性能が落ちてきたことになる。

 ITやAIがレベルアップすると社会が圧倒的に豊かにならなければならない。しかし現実は物価高と、給与が上がるぞと言う空手形と、慢性的な人手不足で景気はいいとは言えず閉塞(へいそく)感が漂っている。ITやAIの発達に反比例し、人間が退化していることになりはしないか。

 人殺しも多い。罪もない無差別殺人もあるが、殺したいほどの憎しみを買っている人もいそうだ。命の尊厳より、自己の気分が優先され理性が壊れている。

 長引く猛暑と局地的な豪雨、一方では東京都が節水を呼びかけたり、農作物の生育に危機感が高まっていたり、極端な水不足でもある。温暖化による気象変動への対応と同時に、人間の退化阻止に取り組まなければならない。

 人類の新しい価値創造は大命題であり、それはそのままSDGsへの取り組みでもある。地球環境や日本の地方の課題を他人事ではなく、自分事として真剣にそれぞれの持ち場、立場で何をすべきか、何ができるのかを考えるなら、自分勝手や自己中心ではいられない。
 学校教育現場でもSDGsへの取り組みが求められている。全国ほんもの体験ネットワークでは、その教育プログラムをどのように進めるべきか、またこのほど、事前学習、現場学習、事後学習の組み立て方等を解説し、全国28カ所のSDGsプログラム事例をまとめた70ページに及ぶ冊子を製作した。

 社会の一員としてのあるべき姿や人間としての生き方にも通じるものとなる。教育旅行への活用が期待される。コロナでうちひしがれた社会が、大きく変わらなければならない時、その契機となることを願うばかりである。

 
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