【体験型観光が日本を変える318】コロナ後の挑戦、成功事例を作ろう 藤澤安良


 猛暑の時と稲作の田んぼには降らず、局所的な、ほしくないところに豪雨が降るように終始した8月も終わった。セミの声からスズムシ、マツムシ、コオロギなどの秋の虫の声に変わる季節であるが、セミの声が鳴りやまない暑さが続いている。これだけ暑い日が続くと鬱憤(うっぷん)の晴らす相手もおらず、人間もおかしくなるのかもしれない。

 某中古車会社のこんな話が労働力不足が深刻な日本で現存しているのかと思えるパワハラの数々。皮肉にも転職サイトのテレビコマーシャルを頻繁(ひんぱん)に見るようになる。

 ロシアのウクライナ侵攻から1年半が過ぎ、収束の兆しはなく、西側諸国から米国製のF16戦闘機がウクライナに供与されるというニュースが流れた。そんな中、ロシアの民間軍事会社の代表・プリゴジン氏が自家用ジェット機の墜落で死亡したと報じられた。誰がやったのか、本人に間違いないのか。われわれには知る由もないが、誰かが仕掛けたことは間違いなさそうである。また、米国N紙はこの戦争での死傷者は双方で50万人に及んでいると報道している。

 天然ガスや石炭を燃料にした火力発電に頼っている日本ではその電力料金もガス代もガソリン代も大きく値上がりし、家計も経済も圧迫している。

 漁連や地元の反対がある中、東京電力福島1原発の処理水の海洋放出が開始された。中国や北朝鮮政府から強い反対の意思表示があり、便乗なのか策謀者と真意は図りかねるが、海洋放出反対の直電が何本もかかってくるという。電話の内容よりなぜその電話番号を知りえたのかの方が何とも怖い。

 いろいろあるのに、中国が日本への団体旅行を解禁した。コロナ前の2019年を上回る訪日観光客数になっている上での解禁とあって、観光客は増えるであろうし、処理の件があっても、刺し身やすしは食べそうである。爆買いが以前と同じにはならないが、不動産登記が心配になる。

 ある田舎での光景。前はそば屋だったのに、今は赤と黄色の目立つ看板の中国料理店になっているではないか。感心していると、「何件も中国の資産家に買われている建物はあります」と言われてしまった。

 古民家や食事店をはじめ、観光バスも、旅館・ホテルや飲食店まで、中国資産に買い占められて、中国からの旅行客の消費がそのまま中国に戻ってしまうことになる。

 モノ消費からコト消費の拡大を期待して体験型観光のプログラムを作り続けている。しかし、オーバーツーリズムと人手不足と円安のトリプルパンチを回避しなければ、地方に人は中々来てくれない。

 日本の田舎に外国人が訪れても夜は10時に閉まる飲食店、午後2時から5時までお休みしたり、日曜日は休業したり…。時給を上げてもなかなか人が来ない。客が来ればやれると思いたいが、鶏か卵かではない苦しみがある。

 大河ドラマ「どうする家康」の心境である。さあ、どうするインバウンドと地方の観光。成功事例を作るしかない。志の高い人々と、豊かな自然と、日本の伝統文化が息づく地域が挑戦すべき時である。

 
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