【体験型観光が日本を変える325】世界平和の上に観光がある 藤澤安良


 ロシアのウクライナ侵攻が収まらない中、中東ではイスラム原理主義組織ハマスから攻撃を受けたイスラエルが反撃を繰り返し、パレスチナ自治区のガザを実効支配しているハマスに対して地上侵攻による大規模な作戦を準備しているとの報道もある。

 15日時点で双方の死者は計3500人以上となった。宗教や人種問題が絡んでおり、多数の命が失われるような問題なのか、勉強不足の私には分かりにくい争いの構図である。

 人類が地球に誕生してから長い世紀を越えて何度も戦争を繰り返してきたが、今なお人類が殺し合わなければならない事態は情けないことであり、歴史を学んだり、過去を省みて、過ちを繰り返さないことが知能と理性ある人類の進化の証しだとすればとても残念である。世界での多くの紛争が一刻も早く収束することを祈りたいものである。

 民間航空機が戦時下の国から脱出のために使われるのではなく、快適な空の旅に使ってほしい。世界の平和の上に観光がある。コロナ禍やウクライナ戦時下での物価高に加えた円安は、日本経済や国民生活に大きなダメージを与えているとも思える。

 治安の良い国日本でも、殺人、強盗、詐欺、交通事故、無謀運転、ひき逃げ、性犯罪などの報道が頻繁に流れ、増えていないだろうか。人間の心の問題でもある理性、法律、規則、モラル等内面的な部分でも病んではいないだろうか。懸念は膨らむ。

 そんな中で観光はどうなのか、暑すぎた夏、10月上旬まで続いた夏の影響で、野菜や果樹などの農作物の成長に大きく影響を与えた。野菜高騰が続いている。マツタケが全くとれないと嘆く地域もある。

 海では海水温の上昇なのか、北海道でサケの漁獲量が減り続けて、10年前には取れなかったブリの水揚げが伸びている。福島原発の処理水の風評被害も影響がある。地域の名物や特産までもが変わろうとしている。

 今年は、桜も開花のタイミングも10日程度早くて、ツアーの設定とかみ合わなかった。多くの山岳地域の紅葉が、今年は夏の様相から、秋を飛び越え冬に向かうことになり、見どころの期間が少なかったり、なかったりと嘆いている。

 自然相手の景観型観光では自然環境や気象条件に大きく左右される。これからだと、冬だからできること、寒いからできること、おもしろいこと、また季節感に頼らない観光は何か、体験交流型の観光プログラムなら幅が広い。

 熊でもないのだから人間は冬眠しないはずだ。1次産業も冬なりの作業がある。冬の雪はスキー・スノボだけではない、スノーシュートレッキングもある。雪がないなら落ち葉を踏みしめ歩く山中もおもしろい。室内でのもの作り体験は、木工、竹細工、わら細工、つる細工、草木染め、陶芸などできることがとても多い。

 冷凍、インスタント、でき合い惣菜が幅をきかす今日、地域の特色を生かす郷土料理体験はとても良い。日本の1次産業や伝統工芸、食文化を再確認する体験型観光の役割は大きく日本の観光を変えることになる。

 
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